基礎編
シクロデキストリン(環状オリゴ糖)ってなに?
シクロデキストリンの働き
αとβとγ、それぞれの特徴
α、β、γの世界的な安全評価
α、β、γ、それぞれの大量生産が可能に
一般的な4つの包接方法
α-CDには、さらなる効果が…
米国で脚光を浴びるダイエット効果
日本でもダイエット効果が評判に
アレルギー疾患の改善にもすぐれた効果
血糖値上昇抑制効果
飽和脂肪酸の選択排泄効果
γ-CDにもこんな効果が…
コエンザイムQ10の弱点を克服するγ−CD
CoQ10包接体(包接化CoQ10)の様々な効果
応用編
注目のCD用途分野
食品・化粧品分野への応用
化粧品分野への応用
生活用品用途編
医農薬用途編
環境用途編
化学修飾・化学反応編
ナノ超分子編
シクロデキストリンを使った商品例
寺尾啓二・株式会社シクロケムバイオの論文・資料リスト
寺尾啓二・株式会社シクロケムバイオの書籍リスト
寺尾啓二・株式会社シクロケムバイオの学会発表論文と招待講演リスト
寺尾啓二・株式会社シクロケムバイオの特許リスト
2010年シクロケムの成果
2011年シクロケムの成果
2012年シクロケムの成果
2013年シクロケムの成果
2014年シクロケムの成果
2015年シクロケムの成果
2016年シクロケムの成果

シクロデキストリンとは?:基礎編

シクロデキストリンの働き

α、β、γ、それぞれのシクロデキストリンは、異なる特性を持つと述べましたが、その話の前にまず、シクロデキストリンとしての共通点について触れておきます。

親油性と親水性

シクロデキストリンはブドウ糖が環状に連なっていますが、構造的にはちょうどフタと底のないカップのような立体的なカタチ(円錐台形)になっています。

親油性と親水性の説明

その内径はα−シクロデキストリンでは0.5〜0.6ナノメートル(nm)、β−シクロデキストリンでは0.7〜0.8ナノメートル(nm)、γ−シクロデキストリンでは0.9〜1.0ナノメートル(nm)です(1nm=10億分の1m)。いずれも微小なナノ粒子といえます。

シクロデキストリンのサイズ

またこのシクロデキストリンというカップは、その内側は親油性(油になじみやすい性質)、逆に外側は親水性(水に溶けやすい性質)を示す、たいへん特異な性質をもちます。つまり、ひとつの物質の中に相反する2つの性質を併せもっているのです。
それで、シクロデキストリンは水に溶けない油分に対しても、その内部空洞に油分を取り込み、そして外側は親水性を示すことで、きわめてスムーズに水になじむという芸当を簡単にやってのけます。
こうした“内側=親油性・外側=親水性”の二重構造をもつナノ粒子ということで、シクロデキストリンは次のような、他に類をみない特性に富む、さまざまな作用を示します。

(1)包接(ほうせつ)
シクロデキストリンは、その内部空洞の中に、さまざまな分子を取り込む性質をもっています。この現象を、「包接」といいます。※包接には水分が必要となります。
シクロデキストリンを「ホスト」、一方、取り込まれる分子を「ゲスト」と呼びます。シクロデキストリンがフタと底のないカップ状であっても、ゲスト分子が飛び出しにくいのは、このホストとゲストの間で、各種の相互作用が働くためとされます。その意味で、シクロデキストリンは、“分子サイズ(ナノサイズ)のカプセル”、すなわち、“世界でいちばん小さなカプセル”といえます。

シクロデキストリンの包接

(2)徐放(じょほう)
ゲスト分子はシクロデキストリンの内部空洞に固定されたままというわけではありません。条件に応じて中からゆっくりと出ていきます。このように分子が少しずつ出ていくことを、「徐放」といいます。※徐放には「水分」が必要となります。
たとえば、辛味や香料などの有効成分をあらかじめ包接化しておき、徐々に放出することで長時間利用することが可能となります。

シクロデキストリンの除放

(3)安定化
紫外線や熱などに弱い物質や、酸化、加水分解されやすい不安定な物質などを包接することで安定化させることができます。つまり、シクロデキストリンが紫外線や熱、酸化、加水分解などから有効成分を守ることで、変質を防ぎ、保存性を高めることができます。

(4)生物学的利用能(バイオアベイラビリティ)の向上
多くの有効成分は、分子が集まったカタチで存在しています。シクロデキストリンは、内径が1nm以下という微小なカップ状をしており、有効成分を包接するとき、この有効成分の分子間力を断ち切ります。この微粒子化により、有効成分は分子レベルで優れた効果(体内吸収性、持続性の向上)を発揮することが可能になります。これを、生物学的利用能(バイオアベイラビリティ)の向上といいます。
例えば、CoQ10のような脂溶性物質は、空腹時ではほとんど吸収されないことが分かっていますが、γ-シクロデキストリンで包接することで、いつ飲んでも吸収性と持続性を向上させることができます。

(5)粘度調整
粘度の高い物質を包接することで、分子間凝縮力を断ち切り、粘度を低下させることができます。

(6)マスキング
嫌な臭い、苦味成分なども包接することができ、そのことで、臭みや苦味を感じさせないように改善します。このような作用を、“マスクをする”という意味で、「マスキング」といいます。

(7)吸湿性防止
吸湿性の高い物質を包接することで、その吸湿性、潮解性(大気中の湿気を吸収して溶解する性質)を抑えます。

(8)粉末化
気体(二酸化炭素)や液体(油脂、香料、エタノール等)を包接することで安定した粉末にし、それらの利用を容易にします。

(9)可溶化
水に溶けにくい物質を包接し、水に溶解させることができます。水と混じり合わない油性の物質も、シクロデキストリンというカップに取り入れると、カップの内側が親油性で、外側が親水性であるため、水に一様に分散し溶けることができるわけで、これを「可溶化」といいます。

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