シクロデキストリンの化学ベンチャー始動

「シクロケム」が来月発足

ワッカー日本法人から事業継承 数年後50億狙う

シクロデキストリン(CD)を中核製品にする化学ベンチャー企業、シクロケムが2002年12月1日に発足する。独ワッカー・ケミーの日本法人、ワッカーケミカルズイーストアジアのスペシャリティケミカル部門を継承する新会社で、本社およびラボを神戸市内に置き、ワッカー社のスペシャリティ製品を日本国内で独占的に販売する。CDの新規市場開拓をテコに初年度10億円、数年後に40億~50億の売上高達成を目指す。将来的には国内にファイン製品の生産拠点を確保する構想を持っている。

国内生産も視野に

シクロケムは、ワッカー社日本法人の社員である寺尾啓二氏が資本金1千万円を出資して設立、寺尾氏が社長に就く。寺尾氏は日本シクロデキストリン学会の理事や中央大学理工学部講師も兼任している。本社とラボは神戸国際ビジネスセンター内に設置し、東京オフィスは試薬・ファインケミカルメーカー、純正化学の本社(東京都中央区)内に置く。当面は七人のスタッフで活動を開始する。

ワッカー・ケミーはシリコーン樹脂で旭化成、シリコンウエハーで新日本製鉄の子会社であるニッテツ電子とそれぞれ数年前に合弁会社を設立し、日本法人の関連事業を合弁会社に移管した。この結果、日本法人には主にスペシャリティケミカル部門だけが残るかたちとなったが、その商権を寺尾氏が継承してベンチャー企業を立ち上げる。

シクロケムが扱うのは天然型CD,化学修飾型CDのほか、有機シリル化合物、ジケテン誘導体、アセタール、α-クロロカルボニル化合物などがあり、販売だけでなくCDを中心とした研究開発も手掛ける。また、中国最大の化学品商社であるシノケムとファインケミカル分野での協力を進めていく予定。

CDはブドウ糖が結合した環状オリゴ糖で、内部の空洞に有機物を取り込んで安定化させるという包接機能を持ち、食品、化粧品、医薬品、農薬、香料など幅広い用途に使われ始めている。現在の国内市場規模は20億円から25億円とみられているが、新規用途に広がりとともに今後市場が急拡大する可能性を秘めている。

ワッカー社はα、β、γの三タイプの天然型CDを選択的に作り分ける技術を持っているほか、米国に年産五千トンという世界最大のプラントを保有し、世界市場で八割の販売シェアを握っている。