ヨウ素水溶液を安定化

αシクロデキストリン 包接作用で揮発抑制
シクロケムが新知見 抗菌効果などに徐放性も

シクロケムは、ヨウ素化合物水溶液からのヨウ素揮発をαシクロデキストリン(CD)が効果的に抑制することを見いだした。ヨウ素の昇華を抑えるにはポリビニルピロリドン(PVP)やβCDなどでヨウ素を包接する方法があるが、水溶液にすると安定状態が崩れて揮発が起こるという問題があった。しかしβCDより環の小さいαCDを水溶液に添加すると、遊離したヨウ素を包接して安定化できる。水であらかじめ希釈したヨウ素系のうがい薬や抗菌・消臭剤などが可能になり、ヨウ素の用途・市場拡大への貢献が見込まれる。

ヨウ素は強い抗菌力と広い抗菌スペクトルを持つ優れた天然抗菌剤だが、常温で固体から気体に昇華し揮散するため、独特の臭気を放ったり、着色や金属の酸化腐食を引き起こしたりするという問題点がある。これを解決する手段の一つとしてヨウ素をβCDで包接して安定化させた化合物(BCDI)があるが、粉末状態では昇華性を抑え込めるものの、水で希釈していくとヨウ素がβCDから徐々に外れて揮発してしまう。

シクロケムでは、ヨウ素水溶液を安定化させる各種添加剤を検討した結果、六個のブドウ糖が環状に連なったαCDがもっとも有効にヨウ素の遊離を抑制することを発見した。

ヨウ素は水に溶けにくいためカリウムで塩にしたうえで、ブドウ糖が七個連なったβCDの水溶液のなかで包接させる。ヨウ素化合物の分子が大きくαCDには入らないためだが、βCDの包接体から遊離したヨウ素はαCDが包接し、水溶液中でヨウ素の交換が起こることが分かった。

BCDIの0.1%水溶液にαCDを0.1-1%添加した水溶液と、αCD無添加の水溶液をそれぞれ入れたビーカーをラップフィルムで密閉してヨウ素残存濃度を経時測定した結果、αCD無添加のビーカーではヨウ素が大幅に揮発してフィルムが変色した。一方、αCD添加溶液ではヨウ素の揮発が少なく、αCDの添加量と残存ヨウ素濃度に相関関係も認められた。

これは、αCDの添加量によって、BCDI水溶液からのヨウ素揮発もコントロールできることを示すもので、αCDとBCDIの組み合わせでヨウ素による抗菌・消臭効果などに徐放性コントロールを持たせることも可能になる。

同社では明治製菓のうがい薬「イソジン」に代表されるPVP-ヨウ素包接体の希釈水溶液についてもαCDの効果確認実験を実施し、BCDIの場合とほぼ同様の結果を得ている。

シクロケムは独ワッカー・ケミー日本法人のファインケミカル部門が独立して昨年十二月に発足したベンチャー企業。CDの世界最大手、ワッカー・バイオケム(本社・米国)の各種CD製品を日本で独占供給しているほか、CDの応用研究開発などを手掛けている。今回の新しい知見についてはこのほど国内で特許を出願した。