鮪頭のEPA・DHA γ-CD用い安定粉末化

包接機能で酸化抑制 魚臭も低減

シクロケムは、八洲水産などと共同で、マグロの頭部に含まれる有用成分を、γ-シクロデキストリン(CD)を使って安定化した粉末にする技術を開発した。鮪頭ペーストを加熱乾燥で粉末化する際にγ-CDを加えることで、有用成分でありながら酸化分解しやすいエンコサペンタエン酸(EPA)やドコサヘキサエン酸(DHA)などを安定化できるほか、不快な魚臭も抑えられる。同技術で製造した粉末はペットフードなどさまざまな用途が見込まれ、多くが廃棄されている鮪頭の有効利用につながるものと期待される。

日本では年間に約四十六万トン(二〇〇二年推定)ものマグロが消費されているが、全重量比で約八%を占める頭部は「マグロのカマ」として一部調理されているものの、ほとんどは焼却処分されている。一方、鮪頭にはDHAやEPAなどω3不飽和脂肪酸の魚油をはじめ魚コラーゲン、動物性コンドロイチン、カルシウムなどが豊富に含まれるが、とくにω3不飽和脂肪酸は酸化しやすく、室温では短時間で新鮮さを失うことなどから鮪頭の有効利用は困難だった。

各種有機物の包接機能などを有するCDの応用開発や販売を手掛けるシクロケムでは、CDの世界最大手である米ワッカーバイオケムが開発したγ-CD活用魚油安定化技術を応用することで、鮪頭をEPA/DHAの安定化された粉末に変換することを考案。八洲水産などと共同で実用化に向けた取り組みを進めてきた。

開発した技術は、粗く砕いた鮪頭にγ-CDの水溶液を加え、ミルでペースト化した後に音速蒸気を吹き付ける瞬間乾燥機(USSドライヤー)によって百二十五度C、5秒間で瞬間乾燥させるというもの。同方法で得られた粉末は、γ-CDの包接作用により、DHA/EPAを長期にわたって安定化できる。

γ-CDの添加量にかかわる効果データでは、ペーストとγ-CDの重量比が十対一の場合はDHAの残存率が五二%だったが、五対一にすると同残存率を九〇%まで高められることが判明。同様にEPAの残存率も七九%から八九%まで上昇し、γ-CDによるDHA/EPAの安定性改善が確認された。

シクロケムと八洲水産では、今回の成果を十五、十六日に北海道札幌市で開催される第二十一回シクロデキストリンシンポジウムで発表する。