シクロケム トリアセチル化CD 低コスト製法を確立

シクロケム トリアセチル化CD 低コスト製法を確立
アセチル化剤に酢酸イソプロペニル精製、大幅に簡素化

シクロケム(本社・兵庫県神戸市、寺尾啓二社長)は、トリアセチル化シクロデキストリンの低コスト製造法を確立した。シクロデキストリン(CD)のアセチル化剤に酢酸イソプロペニルを使うもので、副生成物がアセトンなどの揮発性物質だけになるため精製工程を簡素化できる。トリアセチル化CDは油相への溶解性に優れ、コーティングや樹脂などの機能性添加剤をはじめとして多くの用途可能性を秘めているが、従来の製造法は経済性がネックになっていた。

環状オリゴ糖のCDには、内部の空洞に有機物などを取り込んで安定化させる包接機能があり、CDの誘導体としては、水相と油相への溶解性を改善したアルキル化CDや、ヒドロキシアルキル化CDなどが知られている。ただ、これらの誘導体は、油分やアルコールへの溶解能や耐水性が低いことなどから、工業的な用途が限定されていた。

これに対し、トリアセチル化CDは油相への溶解性が著しく高いほか、親水性溶剤には全く溶解しないで親油性溶剤にのみ溶解するという特徴がある。このためアルキル化CDやヒドロキシアルキル化CDでは困難だったさまざまな用途開発が期待されているが、これまでのトリアセチル化CD製造法は無水酢酸や酢酸クロリドなどの高沸点極性有機溶剤中での反応によるため、多量の塩基を必要とし、精製の際に多量の副生成物と高沸点溶剤を除去する必要があった。

シクロケムが確立したトリアセチル化CDの製造法は、無水酢酸などの代わりに酢酸イソプロペニル、酢酸ビニルなどのアシル化反応を利用するもの。副生成物がアセトンやアセトアルデヒドなどの揮発性物質だけになるため、精製を大幅に簡素化できる。酢酸イソプロペニルを用いてβCDをアセチル化させた実験では、高純度のトリアセチル化βCDが約90%の高収率で得られることを確認した。

酢酸イソプロペニルは安価なアセチル化剤であるため、工業的に反応溶媒として用いることが可能。シクロケムでは、新製法でトリアセチル化CDを量産すれば、コストを現在より四割程度下げられる可能性があるとしている。

シクロケムは、独ワッカー・ケミー日本法人のファインケミカル部門を継承して2002年12月に発足したベンチャー企業。今回の成果については特許を出願しており、今後、ワッカー社で新製法の実用化に向けた検討や試験が進められる予定。