いま、はやりもの 環状オリゴ糖

消臭剤から香辛料まで

部屋にこもる悪臭退治のスプレーをはじめ、チューブ入り香辛料、体脂肪低減効果のある緑茶など相次ぐヒット商品の誕生に貢献している化学物質がある。「環状オリゴ糖」だ。トウモロコシが原料で、においの成分などを閉じ込める性質があり、におい消しから食料品まで、用途が広がっている。

においを包み込む

閉め切った部屋のいやなにおいを解消するために、P&G(神戸市)が開発したのが、「ファブリーズ」。スプレー式でソファやカーテンなどに、ひと吹きすれば悪臭が消える。平成11年に発売し、初年度の売上高は70億円だったが、昨年には、130億円とほぼ倍増。 ファブリーズは、分子の"入れ物"である環状オリゴ糖の水溶液を噴霧し、布地に付着したにおいの分子を閉じ込めて悪臭をカットする。環の中に入っている水の分子が、におい分子に置き換わる原理だ。
逆にいいにおい、香りの分子を保存することもできる。240億円とされるチューブ入り香辛料の市場でトップシェアを持つヱスビーの練りショウガと練りニンニクも、環状オリゴ糖を利用した商品だ。冷やっこやステーキなどの風味を添えると食卓で重宝されており、常温で12ヶ月香りが保持できる。
環状オリゴ糖の中に閉じ込めたショウガやニンニクの香りの分子が,しょうゆなどに溶かすと水分子に置き換わり、すりおろしたショウガ、ニンンク同様の風味が香る。

健康食品にも

花王が昨年5月に健康飲料として発売した「ヘルシア緑茶」も今年3月までに200億円を売り上げるヒット商品になった。緑茶に含まれる成分、茶カテキンの体脂肪を低減させる効果に注目。茶カテキンを含む緑茶として開発したが「しびれるような苦味のあるカテキン」(広報部門)を包み込む"オブラート"の役割を果たしたのが、環状オリゴ糖だった。
世界有数の穀物商社、米カーギルのデンプン工場(米アイオワ州)の周辺には、味の素などのデンプン加工会社が集まる。そのなかの一つ、米ワッカーケミカル社は環状オリゴ糖で世界の8割のシェアを持つ。
ワ社の日本法人であった会社を一昨年12月に引き継いだシクロケム(神戸市)では、環状オリゴ糖を使い魚臭さを取り除いた、脳の発達に重要な役割を果たすという、ドコサヘキサエン酸(DHA)入りのペットフードを開発。クマザサのエキスを利用した健康食品もある。
環状オリゴ糖は、猛毒のダイオキシンを含む土壌の改良などにも有効だといい、今後も利用範囲は広がりそうだ。