CoQ10の抗酸化力を4倍以上に
シクロケムが効果確認
シクロケム(本社・兵庫県神戸市、寺尾啓二社長)は,環状オリゴ糖のひとつであるγシクロデキストリン(γCD)が、コエンザイムQ10(CoQ10)の抗酸化力を4倍以上に高める効果があることを見出した。γCDが塊状になったCoQ10を均一に分散化し、これが活性酸素の分子ひとつひとつに作用することにより抗酸化力を高めると推定している。すでにγCDが体内からCoQ10吸収を最大で18倍に高める効果も確認しており、同社では市場優位性が高いとみて健康機能食品、化粧品の両分野でビジネス展開を積極化する。2年後にはCoQ10配合製品のシェア10%以上を目指す。
シクロデキストリン(CD)はカップのような構造で内側が疎水性、外側が親水性となっておりCoQ10の分子をこの内側に取り込む(包接する)ことによって塊状になった分子を均一に分散する。
今回得られた新知見はCoQ10の抗酸化力を高める効果。シクロデキストリンは、α、β、γの3種類あるが、このうちブドウ糖が環状に8個連なる構造のγCDだけにCoQ10の抗酸化力を高める効果が確認された。試薬を用いDPPHラジカルの消去能を測定したところ、γCDで包接したCoQ10の抗酸化力は処理をしないものに比べて約4.2倍に向上した。また脂肪酸グリセリドで水溶性にしたCoQ10よりも抗酸化力は大幅に高かったという。γCD単体での抗酸化作用は認められなかったことから、同社では「CDで加工することにより(CoQ10の)抗酸化活性を向上できることが示された」としている。
活性酸素は体内で段階的に姿を変えるが、CoQ10は酸化力が強いヒドロキシラジカルに対し高い抗酸化力を発揮する。昨年10月に化粧品への適用が可能になったが配合率は0.03%までしか認められておらず、なおかつ油性のため水への溶解度が低く凝集するといった問題があり、機能を最大限に発揮できる分散剤が望まれていた。
シクロケムは世界最大のCDメーカー、独ワッカーケミー社のスペシャリティ・ファインケミカル製品を取扱う日本総代理店として2002年7月に設立。輸入販売のほかCDの包接を中心とした製品開発・用途開発を行っている。