γ-CD包接のリポ酸を新発売
光や熱に優れた安定性 シクロケムと共同開発
最近、そのままでは非常に扱いにくいα-リポ酸のサイクロデキストリン(CD)製剤をめぐる動きが活発化している。三共ライフテック(東京都文京区、03・3814・2759)は、強い抗酸化効果を持つα-リポ酸をγ-サイクロデキストリン(γ-CD)で包接した健康食品原料「αリポ酸CD-20」を10月から新発売する。γ-CDによる包接で、α-リポ酸を安定化させ、加工性を向上させた。この新製品はCD企業のシクロケムとの共同開発。販売については東洋発酵も発売を予定している。三共ライフテックではソフトカプセルを中心に、サプリメントや健康飲料に向けて積極的に展開する計画である。
α-リポ酸は強い抗酸化効果が研究され、最近注目を集めているが、水に溶けず、熱に弱く、独特の味と臭いがあり、加工が困難であることが指摘され、しかも体内吸収性も低いことなどいくつかの問題点が挙げられ、これまで用途の広がりなども期待はずれの状況であった。新製品の「αリボ酸CD-20」は、成分としてα-リポ酸が20%、γ-CDが80%の高含有品。安定性、溶解性、味や臭いが格段改善されている。
これまで、三共ライフテックはα-リポ酸市場の拡大に寄与し得る画期的製剤の開発を目指し、CD企業であるシクロケム(東京都中央区、03・3274・2281)と共同して、α-リポ酸の各種ODによる包接化を検討し、今回の開発に至った。両社はγ-CDによる包接化が、α-リポ酸の光・熱・温度に対する安定性を高め、コエンザイムQ10やビタミンE等の抗酸化物質との配合による劣化を抑制することや、味や臭いの改善を見出し、9月初旬にあったシクロデキストリン学会で発表していた。
例えば、α-リポ酸の短期安定性試験では温度70度、湿度が飽和状態で2時間放置した場合、α-リポ酸の残存率を測定したところ、α-リポ酸単体よりα-CD包接体、β-CD包接体、γ-CD包接体の順に残存率は高かった。また、長期安定性試験では、温度40度で、湿度75%の14日後を調べると、γ-CD包接体の残存率が97%と、優れた安定性を示した。コエンザイムQ10併用によるα-リポ酸の安定性改善試験 (温度:70度、湿度:飽和水蒸気、処理時間:2時間)では、α-リポ酸およびCoQ10をいずれもγ-CDで包接した製剤が最も高い安定性を発揮した。
新製品はソフトカプセル、顆粒、散剤、飲料、乳製品分野など従来のα-リポ酸製剤では不可能とされてきた、用途への幅広い利用が期待できる。新製品の販売は、前述したように東洋発酵も取り扱う予定である。同社では知的財産権について、専門家である弁理士の見解から新製品「αリポ酸CD-20」を製造、販売、使用する行為は、いかなる特許も侵害していないと確信しているという。