株式会社シクロケム
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ニュースリリース

αリポ酸CD包接品を開発

70度Cでも劣化なし

三共の関連社の三共ライフテックはシクロケムと共同で、抗酸化成分のαリポ酸をシクロデキストリン(CD)で包接した「αリポ酸CD-20」を開発した。ライフテックがαリポ酸を、シクロケムがCDの包接技術を互いに持ち寄って開発したもので、ガンマー(γ)型のCDを用いることでαリポ酸の含有量が高いうえに、熱などによって劣化しやすいαリポ酸の弱点を克服。熱殺菌する清涼飲料などへの添加が可能などの特徴を持っている。販売に当たってはライフテックのほか、立山化成と東洋発酵の2社も参画し、10月から売り出す。αリポ酸の包接化については、独社のパテントが存在する。しかし、ライフテックではすでに国内では既知の技術であるとして無効審判請求を起こしており、需要家に安心して購入してもらえる体制を築く方針。

三共ライフテックなどが販売する製品は、環状オリゴ糖の内部空洞に有機物を取り込んで安定化する性質を利用してαリポ酸を包接した。

γタイプのCDを選択することで、その中に取り込めるαリポ酸の含有量が20%と、これまで市販されているものよりも7ポイント程度高くすることができる。

αリポ酸は、特有の臭気や熱、光、温度などにより劣化しやすいという性質も持っている。CDで包接化することで、こうした弱点を克服できる。とくに今回の製品は70度Cの環境下でもαリポ酸の劣化がほとんどなく、従来の製品と比べ格段に温度に強い。

シクロケムはワッカーケミー日本法人の特殊化学品部門を同社社員の寺尾啓二氏がマネジメントバイアウトすることで発足させた化学品ベンチャーで、CDを中核製品としている。

一方、ライフテックは農薬や動物薬などを手がける一方で、特殊な乳酸菌、ビタミン類、カテキンなどの健康食品素材も手がける。

同社は昨年末から化学合成したαリポ酸のみをバルク販売していたが、今回、シクロケムと組むことで、製品の差別を図る。立山化成、東洋発酵の両社もαリポ酸を手がけているものの、競合が激化しているとしてライフテックからCD包接品の供給を受けて、販売するほうが得策と判断した。

αリポ酸の包接化については独ビアトリスの特許がある。同社と提携しているシールドラボがこれを主張し、競合各社をけん制している。しかし、三共ライフテックでは、αリポ酸をCDに応用するパテントはアステラス製薬の前身である藤沢薬品工業が成立させた昭和30年代のものがあり、かなり以前に特許切れしており、パテントには当たらないとして、無効審判請求を今月に提起。徹底的に争う考え。

αリポ酸は抗酸化作用が注目され、化粧品や健康食品素材として関心を高めている。市場規模は年100トンを超えているとされる。価格は1キログラム当たり4万円を想定。初年度3社合わせ5千万円の売り上げを目指す。