株式会社シクロケム
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ニュースリリース

γCD包接体CoQ10 吸収性は18倍(原末混合物に比べ)

シクロケムが臨床試験 安定性・美肌作用も

(株)シクロケム(本社=神戸市、078・302・7003/東京オフィス=東京都中央区、03・6262・1513)は13日、CoQ10-γCD(コエンザイムQ10-ガンマシクロデキストリン)包接体を使った臨床試験の結果を公表した。健常者男女24人(n=22)による4週間の吸収性試験の結果、γCD包接CoQ10のAUC(血中濃度曲線下面積)は、CoQ10原末セルロース混合物の18倍であった。安定性、抗酸化性、美肌作用についても有意なデータを得た。

シクロデキストリンはトウモロコシやバレイショのでんぷんから合成する環状オリゴ糖で、内径は1nm(ナノメートル=10億分の1m)程度。円錐の上下を切り落としたような形状で、さまざまな分子を取り込み固定(包接)できるため、油性物質を水に溶かしたり、物質の安定性を高めることが可能だ。この特性を生かし医療、食品、化学などさまざまな分野で広く用いられる。中でもγCD(ガンマシクロデキストリン)は医薬品、食品に広く使われ、安全性に定評がある。シクロケム社はドイツワッカー社との共同開発でγCD包接によるCoQ10の安定化と吸収躍向上に世界で初めて成功している。

同社の寺尾啓二社長は、今回の試験結果を得たことで「これまでマウスや犬などが示したものと同様の結果を人に対する試験で得ることができた。αリボ酸など他の抗酸化物質に対しても同様の効果が期待できるはず」と、γCDのさらなる応用に自信を示した。

臨床試験はまず24人の被験者を2つのグループに分け、それぞれにγCD包接体とセルロース混合物のCoQ10製剤を経口投与し、時間ごとの血中CoQ10濃度を測定した。2週間のインターバルを置いてクロス試験も行い、γCD包接体のAUCはセルロース混合物の18倍を示した。セルロース混台物は空腹時にはほとんど吸収されなかった。また、γCD包接体を含有するCoQ10サプリメント「ナノサプリ」を10人に4週間服用させたところ、皮膚解析結果から10人全員の美肌作用を確認した。同社はこれについて、包接ナノ化したCoQ10が腸管から効率よく吸収され、最終的に肌まで到達した結果、とみている。

寺尾社長は「効果をみる吸収性だけでなく、安定性についても注目している。安定性を確保することは他物質の関与を最低限に抑え、結局、安全性の確保につながるからだ。水溶化CoQ10などγCD包接体CoQ10以外のものについても引き続き毒性試験を続ける」とし、安全性についても他物質との比較を続ける意向を示した。

同社は試験結果について、10月5日から東京ビッグサイトで開催する「食品開発展2005」で発表する予定だ。(三輪周二)