株式会社シクロケム
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ニュースリリース

環状オリゴ糖で化学製品

昨年、爆発的なブームを巻起こして以来、サプリメントや化粧品などに多用される補酵素「コエンザイムQ10」。これに、ある糖類を加えて、より体内に取り込まれやすいサプリメントを生産・販売する。

「吸収率は従来品の10倍以上まで高まった」と社長の寺尾啓二(47)は胸を張る。今年1-5月の売り上げは5億5干万円。すでに昨年の年商を2億円以上上回る。人気商品の高い機能を支えるのは環状オリゴ糖のひとつγ(ガンマ)シクロデキストリン。日本で使用権を持つのはシクロケム1社だけだ。

京都大学大学院を修了後、世界的に知られる独の化学メーカー「ドイツワッカーケミー」に入杜した寺尾。間もなく同社の日本法人の動務となった。転機は三年前。同法人の大半の部門が国内他社の傘下に入ることが決まり、残ったスペシャリティケミカル部門を引き継いでシクロケムを立ち上げた。受け継いだ技術の目玉は、世界に先駆けてドイツワッカー社が大量生産、低価格化に成功した環状オリゴ糖だった。物質を吸収・放出するという単純な構造ながら、消臭薬に使えば、嫌なにおいを取リ込む効果を発揮。コロンに混ぜれば香り成分を放出する”スプレー”の役割を果たす。その機能とコエンザイムQ10を寺尾は結びつけた。

コエンザイムQ10は、抗酸化作用が強く高皿圧や動脈硬化予防、疲労回復や美容に効果的とされていた。一方で、簡単に溶けず体内に取り込まれにくい難点もある。

寺尾は吸収性の悪さを環状オリゴ糖で補おう-と考えた。読みは的中。環状オリゴ糖を加えたコエンザイムQ10のサプリメントには高い吸収性と安定性が備わった。「ナノサプリ」と名付けて昨年1月に発売。会社の知名度は低い上、大手と違い大掛かりな宣伝広告もできず、価格も他社製品より高かったが、昨秋からのブームが追い風となり、インターネットの掲示板で知られる存在になっていく。

「ブームがあったからこそ会社の存在感を示すことができ、売り上げを伸ばせた。時代がついてきた」と自信をみせる寺尾。目下、独メーカーと共同で、水虫の薬を包んだ環状オリゴ糖を用いた靴の中敷きの開発に取り組んでいる。「技術を売る会社として、まだまだやりたいことはたくさんある。環状オリゴ糖の可能性は無限大」と目を輝かせた。