CD包接でCoQ10製剤開発
吸収率18倍に上昇
シクロケム(神戸市中央区、078・302・7003)はコエンザイムQ10(CoQ10)をシクロデキストリンで包接・混練体とすることで、溶解速度ならび血漿中CoQ10濃度を飛躍的に高めることに成功した。同技術を使用することで、少量で効果的な機能が期待でき、コストダウンが見込める。今後、包接化したCoQ10素材の原料提供を強化していく。
CoQ10は常温で光や酸素に弱く、吸収率が低いことが弱点であった。同社の技術は、ブドウ糖で構成される環状オリゴ糖「シクロデキストリン」で分子を包み込む(包接化)ことで、(1)分子間力を断ち切り、粘度を下げ、可溶化する。(2)有効成分を包接することによって分子間力を断ち切り、分子レベルでの効果を発揮する(3)光、紫外線、空気などに弱い物質を安定化させる―など利点は多い。サイズは、ナノメーター単位まで微細粒子を作ることが可能で径を小さくすることで、内容物と体内細胞との接面(表面積)増やし、吸収を高めている。
同社と熊本大学との共同試験で、CoQ10をシクロデキストリンで混練体とすることで、単体のみの摂取と比較して約300倍の濃度で溶出することを確認した。また、吸収率の比較試験で包接体CoQ10を犬に30mg相当経口投与し、投与10時間後に、混合しただけの粉末と比べて約18倍の吸収性を確認している。このシクロデキストリンの包接技術は、内容物の環のサイズに対応することができ、あらゆる形態のサプリメント、ドリンクなどに使用できる。さらに、ナノメーターサイズの微細粒子は、静脈注射などの新規DDS製剤としての利用も検討されている。
同社は、世界に先駆けてこのシクロデキストリンの大量生産、低価格化に成功したドイツ・ワッカー社のシクロデキストリンを中心とした製品の日本総代理店。CoQ10以外にも、同包接化技術を用いたクマ笹エキスパウダーなどを取扱っている。