天然の水溶性難消化デキストリン
シクロケム(東京都中央区日本橋本町4-4-16・純正化学(株)内、03-6262-1511)は、十月七日~九日まで東京ビッグサイトで開催された「食品開発展2003」に、「シクロデキストリン」などを出展、来場者より好評を博した。
「シクロデキストリン」(CD)は、馬鈴薯やトウモロコシ澱粉から得られるブドウ糖分子が環状に連なった環状のオリゴ糖で、天然に存在している。バケツのような形をしていて、その外側は水に馴染みやすい性質(親水性)、内側は油に馴染みやすい性質(親油性)の特異的な物質である。
CDには、α、β、γの三種あり、三種全てのCDについて世界保健機構と国連食糧農業機関の食品添加物合同専門家会議によって食品添加物としてその安全性評価が行われている。αCDとγCDは共に、ADI(一日許容摂取量)を特定する必要のない、一日にいくら食してもいい安全性の高い物質であるとの評価を受けている。
三種の天然CDはそれぞれ特性が異なり、αCDは、これまでにない天然の水溶性難消化性デキストリン(水溶性食物繊維)である。αCDを食事とともに摂取すると、食事に含まれる糖分の吸収を穏やかにすることで、食後血糖値の上昇を穏やかにする血糖調整効果がある。また、コレステロール及び中性脂肪減少効果にも期待できる。腸の中で脂肪や糖分が吸収されるのを阻害し、同時に腸内を浮遊する遊離脂肪酸や過酸化脂質など腸内における有害物質を包み込んで体外に除去してくれる働きがある。
また、食物繊維が原料、無味無臭の白色粉末であり、食品に添加しても本来の味、外観を損ねることがない。特に、米飯、うどんなど白さが必要な食品に添加しても良好な外観を維持することが可能。
αCDの食品分野への利用動向として、(1)天然甘味料への利用②脂肪酸―αCD包接品としての利用(▽短鎖脂肪酸の臭いのマスキング▽不飽和脂肪酸の酸化防止)(3)γ―オリザノールの水溶化
また、γCDも食品分野への用途開発が活発になっており、(1)コエンザイムQ10の安定化(2)マグロの頭のペースト粉末化(3)熊笹エキスの色素安定化(4)イソフラボンの可溶化――などを利用した健康食品が開発されつつある。