シクロケム αCDで食品開発加速 低カロリー甘味料など製品化へ
シクロケム(本社・神戸市中央区、寺尾啓二社長)は、機能性糖質αシクロデキストリン(αCD)を軸とする食品開発戦略を打ち出した。健康機能に着目し、今冬に中国産果実の羅漢果(ラカンカ)エキス含有による健康甘味料の事業化方針を固めたのに加え、包接機能を用いて洋菓子製造などに使う二酸化炭素(CO2)含有の新しい品質改良材の試作にとりかかった。CDのマスキング機能を使って開発した酪酸含有の健康食品素材に続き、技術開発主導型のプロダクツラインを拡充することで、来年にかけてαCD利用食品の市場開拓を加速する考え。
αCDは、オリゴ糖が六個環状につながった機能性糖質。シクロケムは、独ワッカー・ケミーの日本総代理店で、米国のグループ企業ワッカーバイオケムがトウモロコシを原料にバイオ技術により生産するαCDを取り扱っている。
日本のCD食品市場では環状の大きなβ型が主流を占め、α型の普及は遅れ気味。そこでシクロケムでは、用途開発が空白になっていることや供給力で優位なポジションに立てることなど条件を整え、これに重点を置いた事業展開を決め今年から乗り出したもの。
戦略によると、αCDと、包接するゲスト化合物の相乗効果を生かした健康機能、加工性の向上機能の追及を基本に進める。具体化したラカンカプロジェクトでは、同社が確認したαCDの血糖値コントロール機能と、砂糖の四百倍近い甘味度のある粉末化したラカンカエキスとのミックス品をつくり、糖尿病予備軍向けの低カロリー甘味料を製品化する。一回分ずつ持ち運びできるスティックタイプのパック包装に整え、十二月をめどに岡山県にある関連会社テラバイオレメディックを通じ供給する考え。
また案件中のCO2プロジェクトは、ケーキなどの製造時に添加する用途を計画。αCDに包接したCO2の作用で、ふっくら仕上がり、食感を向上させる改良材開発を進めている。すでに効果を確認、製品化に向けサンプルワークを展開していく。
シクロケムでは今年に入り、アルファCDによる血糖値コントロールに着目の炊飯添加用「ピュアファイバー」、五月に整腸機能をにらんだ酪酸包接の健康機能素材の用途を開発、市場に投入している。