ダイオキシンをオリゴ糖で浄化
大成建設とシクロケム
大成建設と化学ベンチャーのシクロケム(神戸市、寺尾啓二社長)は、食品添加物に使われる環状オリゴ糖で有毒なダイオキシン類を浄化する技術を開発した。新技術はダイオキシン類の分子から塩素を外して無害な物質に変える技術と、焼却灰などからダイオキシン類を取り除く技術の二種類。安全性の高い技術として二〇〇四年中の実用化を目指す。
無害化技術は環状オリゴ糖にヨウ素の分子を合体させた「CD-I」と呼ぶ物質を利用する。CD-Iを水に溶かしてダイオキシン類と混ぜ、セ氏百度程度に加熱して化学反応を起こす。ダイオキシン類の分子を構成する塩素がヨウ素に置き換わり、エックス線の造影剤などに使われる物質と同じ種類の無害な物質に変わるという。
除去技術は「ガンマーシクロデキストリン(γ-CD)」と呼ぶ環状オリゴ糖を、ダイオキシン類の混入した焼却灰などに混ぜ合わせる。γ-CDは直径〇.六-〇.七ナノ(ナノは十億分の一)メートルの輪を形成。その輪の中にダイオキシン類の分子がはまり、焼却灰などからダイオキシン類だけを除去する。従来のダイオキシン類の浄化法は、特に塩素を外す無害化の場合、数百-千度以上に加熱したり、危険な物質を使う技術が多かった。環状オリゴ糖は苦みをなくす食品添加物などに利用される無害な物質。新技術は投入熱エネルギーが少ないのも特徴。