硫化水素の発生防止
消臭剤材料CDI シクロケム実証 産廃処分場に販売
化学品輸入販売のシクロケム(兵庫県神戸市、寺尾啓二社長)は環境浄化ビジネスに参入する。環状オリゴ糖の一種であるシクロデキストリン(CD)の関連製品が、一部の産廃処分場で問題になっている有害な硫化水素の発生を防止する効果があることを実証。グループ会社を通じて販売する。活性炭などを使う従来方法に比べ効果が高く、人体に害のない安全な方法として年間十億円の売り上げを目指す。
処分場への販売を始める「エコレメディSX」は、トウモロコシのでんぷんから合成するCDと、ヨウ素を組み合わせた「CDヨウ素包接体(CDI)」と呼ぶ物質。CDは現在、酸化防止のための食品添加物、CDIは消臭剤や抗菌剤の原料に利用されている。シクロケムは硫化水素の発生防止の新しい用途を開発し、特許を申請した。
処分場での硫化水素の発生は、一部の廃棄物の中に含まれる硫酸塩を還元する細菌の働きが原因とする説が有力という。CDIは発生した硫化水素をヨウ素の働きで酸化させて硫酸塩に戻すと同時に、発生原因の細菌を殺菌。悪臭をなくす消臭効果も発揮する。活性炭やゼオライトを使った従来方法は、硫化水素を除去するだけで殺菌効果はなかった。
処分場ではCDIを表面に散布して使用する。地下に管を打ち込んで細菌が活動している地中に混入すれば、効果が高まるという。面積五万平方メートルの処分場で一度の散布に必要な量は五百~千キロで、一度散布すれば三ヶ月間は効果が持続する。価格は一キログラム三千円で、グループ会社のテラバイオレメディックが販売する。
シクロケムは独化学大手のワッカー・ケミーの日本法人から、CDやファインケミカルの事業を継承し昨年十二月一日に事業を開始。ワッカー製品を軸にした化学品の新規用途の開発を進め、数年後に五十億の売り上げを目指す。