α-CD機能食材で事業化
血糖値の上昇抑制効果
米ワッカーと連携内外に特許出願
バイオ・化学ベンチャー企業のシクロケム(本社・神戸市中央区港島南町、寺尾啓二社長)は、健康機能食品素材としてαシクロデキストリン(CD)の新用途開発に成功、事業化する。米ワッカーバイオケムと連携し、α-CDに血糖値の上昇抑制効果があることを突き止め、米ワッカーが基本部分、シクロケムが用途特許をそれぞれ国内外に出願した。とくに米飯、麺類など食材の風味を損なわず安全性が高く、糖尿病予備軍向けに製品設計計画を持つ食品、サプリメントメーカーなどに対しバルク品、小売品の供給とライセンスビジネスを展開する。
α-CDは、バイオ技術によりトウモロコシを原料に生産されるオリゴ糖が環状に六個つながる天然の機能性糖質。安定化などの目的で医療品向けなどに使われているが、これまでボリュームのある需要がなかった。食用では一日摂取許容量の制限がなく、国際的に安全な物質の一つ。
シクロケムは、独ワッカー・ケミーの日本法人が扱ってきたCD事業を継承して、寺尾氏の出資により昨年設立。オリゴ糖八個のγ-CDを軸に、化学修飾型CDで工業用を中心に営業基盤があり、ワッカーグループの米ワッカーバイオケムの製品を日本に供給している。
健康機能の用途開発は、米ワッカーバイオケムの血糖値コントロールにかかわる新知見をもとに、穀物をベースとする食品へ加えると、血糖値の上昇抑制がマイルドにしかも効果的に現れ、熱に安定し変色しない加工適性があることをシクロケムが突き止めた。食品素材として米飯、うどん向けなどに需要拡大が見込めることから事業化する。マーケティングは、シクロケムが日本、欧州をワッカー、米国をワッカーバイオケムが行う。
供給するバルク品はワッカーブランド「CAVAMAX W6 FOOD」として新たに戦列に加える。国内はシクロケムを発売元に直接供給のほか、代理店経由による販売も検討している。また同時に展開する小売品は、岡山県にある関連会社テラバイオレメディックが炊飯添加用に「ピュアファイバー」として販路開拓にあたる。
でん粉系で、糖尿病予防として血糖値コントロール機能を示す素材には、水溶性の難消化性デキストリンがあるが、飲料向けに展開、米飯などに入れて加熱すると変色してしまうことなどから製品化が遅れていた。
食品向けCDは、揮発成分の包接用途を中心に使用、ほとんどがαより大きな環状のBCDで、国内メーカもβ型を重点としていた。