第22回 α-シクロデキストリンによる脂肪酸トリグリセリドの乳化作用に関する研究|株式会社シクロケムバイオ
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研究情報
研究成果

第22回 α-シクロデキストリンによる脂肪酸トリグリセリドの乳化作用に関する研究

研究の背景と目的

これまでのCD(シクロデキストリン)に関する報告では、CDの次のような性質が研究されている。それは「α-CDが種々の油脂を包接すること」、「その包接化合物はCD部分が親水性を持つこと」「CDから突き出た部分が親油性(疎水性)をもつ界面活性剤として機能すること」などだ。しかしその性質に関する研究の中でも、CDの乳化作用に関する報告、特に粒度分布やミセルサイズについて検討した例は少ない。
そこで本研究では、油に対するα-CDの乳化作用について調べるため、植物油などに一般的に含まれる不飽和脂肪酸トリグリセリドの一種であるトリオレイン(図1)を用い、エマルションに含まれる油の割合と粒度分布及びミセルサイズの関係に着目した実験を行った。

図1. トリオレインの構造
図1. トリオレインの構造

実験内容

  1. エマルションの作製
  2. 作製したエマルションの粒度分布
  3. 作製したエマルションの顕微鏡写真
  4. 糖添加系でのエマルションの粒度分布と顕微鏡写真

1. エマルションの作製

(1)イオン交換水に α-CDを溶解させる
 ↓
(2)その水溶液にトリオレインを加える
 ↓
(3)ホモジナイザーで6000rpmで10分間撹拌
 ↓
(4)ホモジナイザーで9500rpmで10分間撹拌

写真1. α-CDトリオレイン乳状液の作製
写真1. α-CDトリオレイン乳状液の作製
写真2. α-CDトリオレイン乳状液(1:8 w:w)
写真2. α-CDトリオレイン乳状液(1:8 w:w)

2. 作製したエマルションの粒度分布

レーザー回折式粒度分布計(Shimadzu、SALD-300)を用いてエマルションの粒度分布を測定した。

図2. α-CDトリオレイン乳状液の粒度分布
図2. α-CDトリオレイン乳状液の粒度分布

結果
油の割合が多いエマルションでは粒度分布が大きくなる傾向が見られた。

3. 作製したエマルションの顕微鏡写真

方法
(1)エマルションをプレパラートで挟み、下方からLED(4x4, 直列, 12V)で照らしこれを光源として固定した。
(2)上方からCCDカメラ(Light付き)で直接観察しながら最適なレンズと焦点距離を選定した。
(3)各サンプルについてステージを動かし均一な場所での静止画像を撮影した。

実施場所
兵庫県立工業技術センター

測定装置
型式:デジタルマイクロスコープ KH-7700 <HiRox Japan>
性能: 観察倍率:0~7000倍/解像度:1/1.8型211万画素CCD
レンズ: MX(G)-10C:OL-700(II):x1700

写真3. 電子顕微鏡HiRox KH-7700
写真3. 電子顕微鏡HiRox KH-7700

写真4. O/W乳状液の顕微鏡写真

1. α-CD:トリオレイン(1:8)Lot#100317
1. α-CD:トリオレイン(1:8)Lot#100317
1. α-CD:トリオレイン(1:8)Lot#100317
2. α-CD:トリオレイン(1:12)Lot#100507

結果
油の割合が多いエマルションでは油滴サイズが大きくなる傾向が見られた。

4. 糖添加系でのエマルションの粒度分布と顕微鏡写真

方法
(1)エマルションをプレパラートで挟み、下方からLED(4x4, 直列, 12V)で照らしこれを光源として固定した。
(2)上方からCCDカメラ(Light付き)で直接観察しながら最適なレンズと焦点距離を選定した。
(3)各サンプルについてステージを動かし均一な場所での静止画像を撮影した。

実施場所
兵庫県立工業技術センター

測定装置
型式:デジタルマイクロスコープ KH-7700 <HiRox Japan>
性能: 観察倍率:0~7000倍/解像度:1/1.8型211万画素CCD
レンズ: MX(G)-10C:OL-700(II):x1700

写真5と図3 乳状液の顕微鏡写真(上)と粒度分布(下)

3. α-CD:トリオレイン:グルコース(1:8:1)
3. α-CD:トリオレイン:グルコース(1:8:1
4. α-CD:トリオレイン:スクロース(1:8:1)
4. α-CD:トリオレイン:スクロース(1:8:1
5. α-CD:トリオレイン:マルトース(1:8:1)
5. α-CD:トリオレイン:マルトース(1:8:1

結果
糖の種類によって粒度分布及び油滴サイズが異なることが確認された。

まとめ

  1. 油の割合が多い乳化物では粒度分布が大きくなる傾向が見られた。
  2. 油の割合が多い乳化物では油滴サイズが大きくなる傾向が見られた。
  3. 糖添加系においては、糖の種類によって粒度分布及び油滴サイズが異なることが確認された。