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最新研究成果
R(+)-αリポ酸-γシクロデキストリン包接体の物性評価

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第21回「αリポ酸R体-γシクロデキストリン包接体~熱・酸に対する安定性改善効果~ 」に引き続いた最新研究成果

αリポ酸とは?

αリポ酸(ALA)は体内に存在する物質であり、エネルギー産生に働く補酵素として作用する物質である。細胞内に取り込まれたグルコースは先ず解糖系でピルビン酸に変換される。ピルビン酸はピルビン酸デヒドロゲナーゼ複合体(PDC)の働きによってアセチルCoAに誘導されたのち、TCAサイクル、電子伝達系により酸化されてエネルギーが生産される。このPDCの働きを支える必須の物質がαリポ酸であり、糖代謝のために必要不可欠である。血糖が高値を維持し続けると体内の様々な場所でタンパクなどに結合し不可逆的に最終糖化生成物(AGEs)を発生させ、これが糖尿病合併症や老化の原因になるとも言われている。糖を効率よくエネルギーへ変換する働きを持つαリポ酸は、抗糖化素材として現在非常に注目されている物質である。

グルコースからのエネルギー産生とαリポ酸の関係


目的

ALA分子はキラル中心をもち、R(+)(R体)とS(-)(S体)の2種類の光学異性体があるが、体内ではR-ALAのみが利用されており、実際にラセミ体やS体の摂取に比較してR体を摂取したほうが抗糖化に有効であることが判明している。しかし、R体(融点:46-49℃)は安定性が低く、熱や光などの外的要因によって分解し粘着性を有する不溶性ポリマーに変化する。またこのポリマーは、圧縮などによる摩擦熱や低pH環境下においても発生し、これはサプリメント等へ利用する際の打錠工程や、飲料などへの利用において問題が発生することを意味している。日本ではこれまで比較的安定なラセミ体(融点:60-62℃)が工業的に製造され利用されてきたが、不安定なR-ALAは利用することができなかった。そこで、本研究ではR-ALAの安定性改善をめざし、シクロデキストリンを用いてR-ALA包接体を調製し、熱や酸に対する安定性を評価した。


RALA-CD包接体の調製


αCD, βCD, γCDを用いてRALA包接体を調製し、得られた粉末のDSC分析を行った。

*包接体調製方法は特許出願中のため非開示(特願2010-172420)

RALA分析条件

装置 Integrated HPLC System LC-2010C(島津製作所)
カラム CHIRALPAK AD-RH(Daicel)(4.6 mm I.D. x 150 mm)
流速, 温度 0.6 mL/min, 25℃
移動相 25mM H3PO4:CH3CN=70:30
検出器 UV 215 nm
注入量 10μL
保持時間 35min(SALA), 38min(RALA)

クロマトグラム


包接体調整時における収率


分析結果

RALAに対して当モル量のCDを使用して包接体を調製し、得られた包接体中のRALA含有量を測定した。

調製サンプル RALA-αCD RALA-βCD RALA-γCD
RALA理論値 15.6% 13.7% 12.3%
RALA実測値 11.7% 13.2% 11.9%
収率 75.5% 96.6% 96.7%

理論値(処方上のRALA配合量)に対する包接体中に含まれるRALA含有量(実測値)を 収率(%)としてあらわした。
収率(%)=包接体中のRALA含有量/処方値

CDによるRALAの安定性改善効果

熱処理後のRALA残存率

(遮光,70℃,飽和水蒸気圧,2時間)


各サンプルを遮光、70℃、飽和水蒸気圧雰囲気下で2時間保存した後、RALA含有量をHPLCで分析し、初期値に対する残存率で表した。

RALA-γCD包接体安定性評価

水中でのRALA安定性


各サンプル中のRALA濃度が0.5mg/mLとなるように水溶液を調製し、各条件で保管後のRALA残存量を測定した。

水中でのRALAの安定性(90℃)


90℃に加熱したpH緩衝液もしくは脱イオン水にRALA-γCDを添加後、各時間ごとのRALA残存量を測定した。

水中での安定性評価


RALAは凝集して水に分散せず、加熱後にはポリマーとなった。

γCDによる味覚改善効果

官能評価試験

【パネラー】
20代から60代の健康な男女15名(男 8名、女 7名)

【試験サンプル】
γCD, RALA-γCD包接体, RALA-MCC混合物*
(RALA-γCD, RALA-MCCともにRALAを約11%含む)
*RALA-MCC混合物:RALAと結晶セルロースとの物理混合物

【試験方法】
被験者には内容物を開示せずにサンプルを提供した。
水道水で口を漱いだのち試験サンプル(50mg)を口に含み、舌及びのどに感じるαリポ酸特有のヒリヒリする感覚 (辛辣味)を評価した。

【評価方法】
辛辣味が全く感じられない場合を0とし、辛辣味がある場合に1(ほとんど感じられない)~10(非常に強い)の10段階とした。

【判定】
γCDサンプルに対して辛辣味がある(1点以上)との評価をしたパネラー2名を除外し、各サンプルの点数を合計した。

評価結果


γCD包接によってRALAの辛辣な味覚が低減された。

RALA-γCD包接体安全性評価

急性毒性試験

【試験動物】
5週齢のICR系雄雌マウスを約1週間の予備飼育を行い、異常のないことを確認した後、ポリカーボネート製ゲージに各5匹ずつを収容し、室温23℃±2℃、照明時間12時間/日に設定した飼育室にて飼育した。飼料及び飲料水は自由に摂取させた。

【試験液の調製】
検体を注射用水で懸濁し、100mg/mLの試験液を調製した。

【試験方法】
試験動物は投与前に約4時間絶食させた。体重を測定した後、試験群には試験液、対照群には注射用水をそれぞれ20mL/kg体重の投与容量で胃ゾンデを用いて強制単回投与した。
試験群:雄雌各5匹 検体投与量:2000mg/kg体重
対照群:雄雌各5匹 注射用水を投与

【結果】
14日間観察の結果、異常や死亡例は認められなかった。

試験期間中の体重変化

体重は平均値±標準偏差で表した(単位:g)

体重変化(雄)

投与群 投与前 投与7日後 投与14日後 死亡例数(率)
試験群 33.0±0.9 37.5±1.8 39.5±2.8 0(0%)
対照群 33.0±1.0 37.9±1.4 40.5±2.1 0(0%)

体重変化(雌)

投与群 投与前 投与7日後 投与14日後 死亡例数(率)
試験群 26.9±1.1 28.9±1.4 30.5±2.0 0(0%)
対照群 27.1±1.4 30.4±1.1 32.7±1.3 0(0%)

LD50 > 2000mg/kg体重(マウス)

(試験実施機関:(財)本食品分析センター)

まとめ

RALAはαCD, βCD, γCDのいずれとも包接体を形成した。
CD包接によってRALAの安定性が大幅に改善された。
RALA-γCD包接体は粉末状態でも溶液状態でも安定であった。
γCD包接によってRALA独自の辛辣な味覚が改善された。
マウスを用いた急性毒性試験で異常は確認されなかった。

RALA-γCD包接体は、機能性食品素材として利用可能であることが示された。

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