研究成果
第36回 シクロデキストリンによるCAPEの包接安定化作用
背景
食品中に含まれる機能性成分の安定化は「食品の安全・安心」を掲げる上で非常に重要

PPO:ポリフェノールオキシダーゼ
Biosci. Biotechnol. Biochem., 2011, 75, 829-832.
シクロデキストリンは機能性食品(e.g. CoQ10、αリポ酸、ローヤルゼリーなど)を安定化できる素材として数多くの製品に用いられている。
NZプロポリス

背景:プロポリス-γ-CD粉末(previous work)

CAPEとCDとの相互作用

CAPEとCDとの相互作用

CAPE-γ-CDの安定性

Keap1
HO-1、NQO1などの抗酸化タンパク質の発現に関与する転写因子(Nrf2)の活性を抑制するタンパク質。
Keap1のCys残基に酸化やアルキル化が起こることでNrf2が活性化される。
Nf-κB
免疫反応や細胞の増殖、生存に大きく関与している転写因子の一つ。
サイトカインや紫外線など様々なストレスにより活性化される。多くの腫瘍細胞ではNf-κBが恒常的に活性化されている。
CAPE-γ-CDの安定性評価(熱)

CAPE-γ-CDの安定性評価(自己加水分解)

CAPE-γ-CDの安定性評価(加水分解)

Conditions: [CAPE] = 60μM, [γ-CD] = 20mM, [αChT] = 6.6μM in 100μM phosphate buffer pH 7.4 and 25℃.
CAPE-γ-CDの安定性評価(Michael付加反応)

Conditions: [CAPE] = 50μM, [γ-CD] = 20mM, [Cys] = 50mM in 100mM phosphate buffer pH 7.4 and 25℃.
CAPE-γ-CDの安定性評価(酸化反応)

Conditions: [CAPE] = 50μM, [γ-CD] = 20mM, [KIO3] = 5mM in 100mM citric acid buffer pH 4.0 and 25℃.
溶解度相図

胆汁酸によるCAPE-γ-CDの可溶化

CDによるCAPEの包接安定化効果

まとめ
NZプロポリス中に含まれるCAPEの安定化についてCD包接の効果を検討した
- CAPEとCDとの包接体形成における結合定数および溶解度を求めた。
- CAPEの 1) 酵素による加水分解 2) アミノ酸とのマイケル付加反応 3) 酸化反応 に対してγCD包接による安定化効果が示された。
- CAPEγCD包接体は水溶性は低いが胆汁酸存在下ではCAPE単独よりも高い水溶性を示した。
→ CD包接によるバイオアベイラビリティーの向上
↓
CD包接によりNZプロポリス中のCAPEを機能を損なうことなく安定化できる