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最新研究成果
γシクロデキストリンによるトコトリエノールの安定性改善

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要旨

トコトリエノール(T3)は、パーム油や米ぬか、大麦などに含まれており、ビタミンE同族体である。トコフェロール(T0)類と共に、α、β、γ、δの同族体が知られているが、通常のT0の40~60倍の抗酸化力を有している事から「スーパービタミンE」とも呼ばれている。主な機能性は、抗酸化作用、高脂血症改善作用、抗ガン作用、ヒアルロン酸産生作用などを有するが、機能性物質として、その安定性は極めて低く、経口摂取後の生体利用能も低いことが知られている。

我々はT3のシクロデキストリン(CD)包接化によって、小腸からのT3の吸収が促進されることを既に報告しており、これは消化管内でのT3の安定性が増したためと推測した1)。そこで今回、その推測を裏付ける目的で、γCD包接によるT3の安定化効果を検討した。

1) S. Ikeda, T. Uchida, T. Ichikawa, T. Watanabe, Y. Uekaji, D. Nakata, K. Terao, T. Yano, Complexation of Tocotrienol with γ-cyclodextrin Enhances Intestinal Absorption of Tocotrienol in Rats, Biosci. Biotechnol. Biochem., 74 (7), 1452-1457 (2010).

トコトリエノールの吸収性

試料
○:T3含有油
●:T3+γCD-混合
×:T3含有油-γCD包接複合体
(トコトリエノール含有油として13.9mg、トリオレイン200mg、アルブミン50mg、タウロコール酸ナトリウム200mgを含む懸濁液1mLずつ投与)

試験動物
雌、10週齢、平均体重255gのウィスターラット(試験前4週間はビタミンEを含まない食事を与え、24℃で生育)を各群16匹で試験。
12時間絶食後に投与。

A:試料を経口摂取させ、1h後と3h後の小腸・血漿・肝臓中のγT3濃度
B:試料を経口摂取させ、3h後の血漿と組織中のγT3濃度

1) S. Ikeda, T. Uchida, T. Ichikawa, T. Watanabe, Y. Uekaji, D. Nakata, K. Terao, T. Yano, Complexation of Tocotrienol with γ-cyclodextrin Enhances Intestinal Absorption of Tocotrienol in Rats, Biosci. Biotechnol. Biochem., 74 (7), 1452-1457 (2010).

検討内容

γCD包接複合体の摂取によって体内吸収性が向上し、改善が認められた。
これは消化管内でのT3の安定性が増したためと推測される。
そこで、以下の検討を行った。

天然型CDを用いたT3包接複合体の安定性比較
包接複合体の調製方法検討
配合可能なオイル量の検討及び安定性評価

【試料】

・T3高含有オイル 株式会社オリザ油化製のオリザトコトリエノール70
(規格値総トコフェロール・トコトリエノール量82.6%、総トコトリエノール量41.4%、αT3量14.1%、γT3量24.7%)
・γCD ワッカーケミー社製のCAVAMAXR W8 FOOD 規格値98%以上
・結晶セルロース製材(MCC) リバソン株式会社製のVIVAPUR101 規格値100%

【 T3高含有オイルのHPLC分析条件】

カラム SSCPAK PEGASILシリカSP100
(4.6 mm I.D. x 150 mm)
移動相 ヘキサン : ジオキサン : IPA = 496 : 7.9 : 3
流速 1.0 mL/min
カラム温度 40℃
検出 UV 295 nm
希釈溶媒 ヘキサン

包接複合体作製検討

T3高含有オイルとγCDはホモジナイズする事で均一な懸濁液となり、さらに殺菌処理としての加熱によって粘度が大幅に上昇した。凍結乾燥で得た粉末は均一で油滲みもなく、流動性の良い白色粉末であった。
一方、MCC混合体は、乳鉢にて混錬後、凍結乾燥してオイル20%を含む粉末を得たが、ベタツキのある茶色がかった粉末が得られた。

γCD包接複合体の安定性評価

γCD包接複合体とMCC混合体の熱安定性を比較した。
試験管に0.5~1.0gずつを入れ、開放系で140℃に加熱し、 0、30、60、90、120分後に粉末を抜き取りヘキサンで抽出後、主成分であるαT0とγT3の含有量をHPLCにて測定した。
加熱前の粉末中のαT0・γT3の含有量を100%として、加熱後の残存率を算出した。

T3高含有オイル成分のαT0とγT3はγCD包接複合化によって熱分解が抑えられることが判明した。
その分解抑制効果はγT3に対して、より顕著であった。

α、β、γCDによる安定性の比較

α、β、γCDで、T3高含有オイルを30%含む包接複合体を作製した。
各CD包接複合体を試験管に0.5gずつを入れ、開放系で140℃に加熱し、120分加熱後の粉末をヘキサンで抽出後、主成分であるαT0とγT3の含有量をHPLCにて測定した。
加熱前の粉末中のαT0・γT3の含有量を100%として、加熱後の残存率を算出した。

αCD包接複合体は、MCC混合体と同様、熱分解をほとんど抑えられていなかった。
βCD包接複合体、γCD包接複合体ではγT3への安定化効果が顕著であり、γCD包接複合体でより優れた安定性を示した。

オイル配合量による安定性の比較

オイルを増量した場合、前述の方法ではオイルが分離し均一な懸濁液が得られなかった。
しかし包接複合体調製時に80℃にて20分以上加熱処理を行う事で、均一な懸濁液及び粉末を得られる事が見出された。

そこで、γCD及びMCCを用いてオイルの含有量が高い包接複合体を調製し、安定性の評価を行なった。
これまでと同様の方法で、140℃・120分間加熱処理後のαT0・γT3の残存率を算出した。

包接複合体調製時に加熱処理をする事で、オイル含有量60%まで増加しても、均一な粉末が得られた。
オイル含有量が高い程熱に対する安定性は減少したが、オイル35%以下でγCD包接複合体はMCC混合体より残存率が高い事が確認された。

長期安定性試験

T3高含有オイルを32.5%処方したγCD包接複合体を調製し、長期安定性を評価した。

方法
・γCD包接複合体は1gずつPE袋、もしくはアルミ袋に入れ、 40℃・75%RHで保存
・γCD包接複合体懸濁液は冷蔵(4℃)保存

評価方法はこれまでと同様、ヘキサンで抽出後HPLCにて分析し、残存率で評価した。

2ヶ月経過後も、αT0、γT3共に殆ど減少が見られず、長期安定性が確認された。

まとめ

CDで包接複合化する事で、 T3高含有オイルの熱安定性が向上した。その効果はγT3に対して特に強かった。
安定化効果は、γCD>βCD>αCDの順に強かった。
CDを用いて80℃で20分以上の加熱処理をする事によって、オイルを60%と多量に処方した場合でも、均一な粉末化が可能である事が判明した。
安定性はオイル配合量が低い方が高かった。
40℃保存や冷蔵保存条件下では、長期的に安定である事が確認された。
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