研究成果
第43回 α-シクロデキストリンによる果汁プロテアーゼの失活防止効果
背景
果汁プロテアーゼとは
豚肉などの食肉に含有するタンパク質の分解を促し、胃腸の負担を軽減する働きなどがある。
問題点:酵素活性は60℃以上の熱で弱まるため、食品加工への利用は困難とされている。
本研究
シクロデキストリン(CD)を用いたキウイプロテアーゼの安定化を目的とし、果汁とそのCD粉末の安定性について、酵素活性の測定により検討した。
図1. キウイ果汁の酵素活性に対するCDの効果
キウイ果汁は酸化により褐色になり、酵素活性も低下する。
→ 果汁にCDを添加しておくと、失活が抑えられた。特にα-CDを添加した場合にはほぼ100%の活性が保持された。
図2. キウイ果汁の粉末化
粉末にしておく事で、腐敗を遅めたり、運搬しやすくなったり取り扱いが容易になる。
図3. CDによるキウイの熱安定性の向上
熱処理(70℃、5分間)した各キウイ粉末の酵素活性を調べた。
→ α-CDを用いた場合で、キウイ粉末の酵素活性に高い熱安定性が示された。
結論
- キウイの粉末化には、α-CDとγCDのみが可能であった。
- キウイ果汁および粉末の熱による失活防止効果はα-CDが最も高かった。
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以上の事から、α-CDがキウイプロテアーゼの安定性向上に寄与する事が判明し、食品加工への応用が期待できる。