第100回 シクロデキストリン包接による水酸化イソフラボンの溶解性向上|株式会社シクロケムバイオ
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研究情報
研究成果

第100回 シクロデキストリン包接による水酸化イソフラボンの溶解性向上

概要

糖化は還元糖とタンパク質の非酵素的な反応であり、その結果生成される糖化最終産物(AGEs)は老化や糖尿病合併症との関連が指摘されています。発酵大豆抽出物から精製される水酸化イソフラボン(図1)は、抗糖化食品素材として近年注目されています。これまでの研究で、水酸化イソフラボンの摂取が体内の糖化リスクを低減し、皮膚の老化を防ぐことが明らかとなり、アグリコンや配糖体よりも強い抗糖化作用を発揮することが報告されています1, 2)。また、他にも抗酸化作用、脳機能改善効果、メタボリックシンドローム改善効果など、様々な健康効果が知られています。しかし、水酸化イソフラボンは水への溶解性が低いことから、溶解性を改善することで吸収性の向上が期待できます。そこで本研究では、CDとの包接体形成が水酸化イソフラボンの溶解性に与える影響について検討しました。

図1. イソフラボン類の構造
図1. イソフラボン類の構造

実験

溶解度相図の作成

総イソフラボン濃度が5mg/mLになるように、水酸化イソフラボン原末をCD水溶液に加え、室温にて一晩振とうした。上清を0.2μmフィルターにて濾過し、イソフラボン濃度をHPLCにて測定した。

包接体の作製

固形分中の総イソフラボン含有量が10%となるように、CDと水酸化イソフラボン原末を量り取り、精製水を加えて攪拌した。凍結乾燥にて粉末化し、水酸化イソフラボン-CD包接体を得た。

水に対する溶解性試験

総イソフラボン濃度が0.1mg/mLになるように、水酸化イソフラボン-CD包接体を精製水に加え、室温にて一晩振とうした。上清を0.2μmフィルターにて濾過し、イソフラボン濃度をHPLCにて測定した。

人工腸液に対する溶解性試験

総イソフラボン濃度が0.8mg/mLになるように、水酸化イソフラボン-CD包接体を人工腸液(FeSSIF、pH5.0)に加え、37℃にて1時間振とうした。上清を0.2μmフィルターにて濾過し、イソフラボン濃度をHPLCにて測定した。

結果と考察

水中に各CDを添加した際の水酸化イソフラボンの溶解度相図を作成したところ、α-CDならびにβ-CDではAL型の相図が得られた。一方、γ-CDはBS型の相図で示され、水酸化イソフラボンの溶解度は1% γ-CDで最大であった(図2)。

図2. 水酸化イソフラボンの溶解度相図
図2. 水酸化イソフラボンの溶解度相図

総イソフラボン含有量が10%になるよう水酸化イソフラボン-CD包接体を作製し、水および生体吸収性の指標として有用な人工腸液(FeSSIF)に対する水酸化イソフラボンの溶解性を評価した。その結果、γ-CDでは包接体形成によって水酸化イソフラボンの溶解性が高まったのに対し、α-CDとβ-CDは水酸化イソフラボンの溶解性にほとんど影響を与えなかった(図3、4)。これらの結果より、水酸化イソフラボンはγ-CDとの包接体形成によって生体吸収性が向上する可能性が示唆された。

図3. 水酸化イソフラボンの水への溶解性におけるγ-CDの効果
図3. 水酸化イソフラボンの水への溶解性におけるγ-CDの効果
図4. 水酸化イソフラボンの人工腸液への溶解性におけるγ-CDの効果
図4. 水酸化イソフラボンの人工腸液への溶解性におけるγ-CDの効果

まとめ

水酸化イソフラボンはγ-CDとの包接体形成によって生体吸収性が向上する可能性が示唆されました。また、水酸化イソフラボンの水に対する溶解性も改善したことから、飲料用途への応用も期待できます。

参考文献

1) https://www.toyohakko.com/material/unifine
2) 梅田周佑ら, Food style 21, 20(10), 33−40 (2016).