研究成果
第10回 マヌカハニーの効果①<抗菌作用>
マヌカハニーとは?
マヌカハニーはニュージーランドに自生するフトモモ科植物“マヌカ”(Leptospermum scoparium)の花を蜜源として得られる蜂蜜である。この蜂蜜中には抗菌物質メチルグリオキサール(MGO)が高濃度で含有されており、これまでの研究結果として、Helicobacter pyloriやStreptococcus mutansなどといった各種病原性細菌に対して、他の蜂蜜にはない強い抗菌活性を示すことが報告されている。
マヌカハニーの抗菌性
各種口腔細菌に対するマヌカハニーの抗菌活性
マヌカハニーのピロリ菌に対する抗菌作用
胃潰瘍の人の胃から得た5つのピロリ菌分離株を96時間培養して、一般のハチミツ(40%溶液)とマヌカハニー(20%溶液)を用い、寒天平板法による抗菌性試験を行いました。
一般のハチミツ(40%溶液)では抗菌作用は認められませんでしたが、マヌカハニーでは3つの分離株で増殖が完全に阻止され、残り2つについても抗菌性が示されました(表-1)。
そこで今度は、7つのピロリ菌分離株を使用して、マヌカハニーの寒天培地封入による最少阻止濃度の評価が行なわれました。
その結果、7つのピロリ菌分離株はすべて、5%濃度のマヌカハニーの存在下、培養72時間で増殖が完全に阻止され、マヌカハニーのピロリ菌に対する抗菌作用が示されました(表-2)。
マヌカハニーによる腸内環境の改善
マヌカハニーには、悪玉菌を減少させる一方、善玉菌を増やし、腸内環境を善玉菌優位の状態に改善する効能があることも、各種の試験で確かめられています。
たとえば、(表-3)が示すように、マヌカハニーを単独で摂取しても、あるいはマヌカハニーと花粉やローズヒップなどを併用しても、プロバイオティックス(生きて腸に届く経口生菌)の乳酸菌やビフィズス菌など善玉菌は増加し、病原性細菌の大腸菌O-157やサルモネラ菌などは減少しているのがわかります。