第13回 シクロデキストリン包接による10-ヒドロキシデセン酸の安定化|株式会社シクロケムバイオ
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研究成果

第13回 シクロデキストリン包接による10-ヒドロキシデセン酸の安定化

10-ヒドロキシデセン酸(以下、10-HDAと記す)とは、ローヤルゼリーに含まれる特徴的な成分で、品質管理上の指標として含有量が規定されている。
ローヤルゼリーは、女王蜂となる幼虫や、成虫となった女王蜂の食物であるが、アミノ酸やビタミン類を豊富に含んでおり、滋養強壮や体調改善効果の為に健康食品素材として広く使用されている。
しかし、ローヤルゼリー中の10-HDAは不安定であり、光、熱、酸素、金属片などによってその含有量が低下することが知られている。そこで、シクロデキストリン(CD)を用いて10-HDA包接体を調製し、その安定性の評価を行った。

10-HDA安定性試験

10-HDAの安定性にとって過酷な条件である60℃、飽和水蒸気圧条件で放置し、15日後の10-HDA量をHPLCで測定。

10-HDA残存率
(遮光、飽和水蒸気圧条件下、15日経過)
10-HDA残存率
  • MCC(microcrystalline cellulose) : 結晶セルロース。シクロデキストリンのコントロールとして添加。
  • 各サンプルはそれぞれ以下の10-HDAを含有する。10-HDA原末:61.8%、γ-CD包接体:6.4%、MCC混合物:6.4%

シクロデキストリンで包接する事により、10-HDAはほぼ分解せずに残存。

アミノ酸共存下での10-HDA安定性試験

また、実際の生ローヤルゼリーには多くのアミノ酸が含まれているが、アミノ酸は10-HDAの分解を早める。

グリシン共存下での10-HDA残存率
(遮光、60℃、飽和水蒸気圧条件下)
グリシン共存下での10-HDA残存率
  • 各サンプルは50%のグリシンと、それぞれ以下の10-HDAを含有する。
    10-HDA原末:29.1%、γ-CD包接体:5.2%、MCC混合物:3.3%

シクロデキストリンで包接する事により、アミノ酸を加えた状態(生ローヤルゼリーに近い状態)でも10-HDAは安定に保たれていた。

γシクロデキストリンによる褐変化防止効果

A:10-HDA+グリシン/B:γ-CD包接体+グリシン/C:MCC混合物+グリシン

更に、10-HDAが褐変化してしまう事もシクロデキストリンによって抑制が可能である。