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最新研究成果
α-シクロデキストリンの脂肪酸選択性に関する研究

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緒言

αCDは水溶性難消化性デキストリンであり、血糖値低減、体重低減、中性脂肪低減など様々な効果が明らかになっている。
αCDによる中性脂肪低減効果については、ラットでの試験にて飽和脂肪酸を選択的に排泄させる効果が見出されている1)。しかしながら、αCDの飽和脂肪酸選択的排泄作用に対して、どのようなメカニズムが関与しているのかについては、未だに解明されていない。
そこで、αCDが飽和脂肪酸を選択的に包接し、その結果、体内への吸収が阻害されている可能性を検証すべく、過去に脂肪酸混合系におけるβCDの選択性について検討したSzejtliらに準じた方法2)を用いて、αCDの脂肪酸包接に関する選択性に関して検討を試みた。脂肪酸については、飽和脂肪酸トリグリセリドとしてトリステアリン(TS)、一価不飽和脂肪酸トリグリセリドとしてトリオレイン(TO)を用いた。

Fig.1 トリステアリン及びトリオレインの構造
A;トリステアリン B;トリオレイン

1) D. Gallaher, C. Gallaher, D. Plank, Alpha-cyclodextrin selectively increases fecal excretion of saturated fats, FASEB J;21:A730 (2007)
2) J. Szejtli, E. Bánky-Előd, Á. Stadler, Enrichment of the unsaturated components in fatty acid ester mixtures by cyclodextrin complex formation, Acta Chimica Academiae Scientiarum Hungaricae, Tomus, 99 (4), 447-452 (1979)

αCDの飽和脂肪酸選択的排泄に関する過去の報告

Alpha-Cyclodextrin Selectively Increases Fecal Excretion Of Saturated Fats
「α-シクロデキストリンは飽和脂肪酸排泄物を選択的に増加させる。」
Daniel D. Gallaher, Cynthia M. Gallaher, and David W. Plank

試験用飼料

試験開始当初の体重が125-150gのオスのウイスター系ラットを用い、1群あたり10匹とし、4群で検討した。
全ての群に脂肪を15重量%を含む下記の餌料を準備した。
コントロール投与群 ―AIN93G食にセルロース5%混合
キトサン投与群 ―AIN93G食にキトサン5%配合
αCD投与群 ―AIN93G食にαCD5%配合
複合化αCD投与群 ―AIN93G食の餌量中脂肪の一部を5%αCDで複合化し配合

試験方法

ラットに上記の餌料を各群とも7日間投与し、一晩絶食させた後、14Cで標識したトリオレインおよび3Hで標識したトリパルミチン含有の脂肪を含む餌料を5g投与した。投与終了4時間後から糞便の採取を開始した。

結果

αCDの摂取は、糞便中のトリオレインに対するトリパルミチン比率を増加させ、あらかじめ脂肪とαCDを複合化したものを摂取することによって、その傾向はさらに増大した(Fig.2)。

Fig.2 糞便中のラベル化トリパルミチン/トリオレイン比

実験方法

分析方法

Differential scanning calorimetry (DSC)分析

DSC分析条件
装置:DSC-60 (SHIMADZU)
温度範囲:50℃-100℃
昇温速度:10℃/min

トリグリセリド(TG)分析

サンプル調製

HPLC 分析条件
装置:LC-2010C (SHIMADZU)
カラム:Luna 5μ C18(2) 100 A, 4.6 mm I.D. x 150 mm (Phenomenex)
カラム温度:40℃
流速:1mL/min
移動相:A;アセトニトリル、B;THF
プログラム:

Time (min) B%
0 20
20 60
22 60
23 20
28 20

Evaporative Light Scattering Detector (ELSD)分析条件
装置:ELSD-LTⅡ(SHIMADZU)
ネブライザーガス:N2
N2 圧力:360 kPa
温度:50℃
ゲイン:11

複合体調製工程の予備検討 (TG分散溶媒の選定)

目的
・αCD水溶液に対して、なるべく影響を及ぼさず、さらにTGを溶解させることができる有機溶媒の選定。

実験1 有機溶媒の選定
・10%αCD水溶液に有機溶媒を少量ずつ滴下ながら攪拌し、状態を観察した。

実験2 TG溶解性の確認
・TS及びTOに有機溶媒を加えて70℃に加温し、目視にて溶解しているかを確認した。

結果と考察
酢酸エチルサンプルのみ、透明な溶液を維持していた(Fig.3-A)。
また、TS及びTOを酢酸エチルに加えて、70℃に加温すると数秒で溶解した(Fig.3-B)。

これらの結果より、酢酸エチルが有用であることが示された。

Fig.3 複合体調製方法に適用する有機溶媒の選定
A:αCD水溶液に対する有機溶媒の影響 B:TG溶解性の確認

複合体洗浄工程の予備検討 (洗浄液の選定)

目的
・αCDもしくはその包接体に付着したTGを洗浄する有機溶媒を選定する。

実験
・TSが余剰に含まれているαCD複合体粉末を各有機溶媒で洗浄し、洗浄性を評価した。
・評価方法としては、DSC測定にてTS由来の吸熱ピークの減少度合いにより評価した。
①従来法により、TS 30 w/w%含有αCD複合体粉末(TS-αCD)を調製した。
②TS-αCDを様々な有機溶媒(あらかじめ沸点近くまで加温したもの)で洗浄し、風乾させた後にDSC分析を行った。

結果
・TS-αCDのDSC分析を行ったところ、TS融点由来の吸熱ピークが検出され、TSが余剰に含まれていることが確認された(Fig.4 赤チャート)。
・THF洗浄でのみTS融点由来の吸熱ピークが消失した。
・また、TOはTHFに容易に溶解した(data not shown)。

Fig.4 有機溶媒洗浄によるTS-αCDのTS融点由来の吸熱ピークへの影響

THFは、TS-αCDに付着した余剰なTGの洗浄に有用である可能性が示唆された。

複合体洗浄工程の予備検討 (THFによる洗浄性検証)

目的
THFを用いたTS-αCD複数回洗浄によるDSC分析におけるTS融点由来の吸熱ピークとトリステアリン含量への影響について検証する。

実験
TS-αCDをTHF(室温)で複数回洗浄した後、DSC分析及びHPLC-ELSD分析を行った。

結果
・DSC分析の結果、THFで2回以上洗浄した時にTS融点由来の吸熱ピークが消失した(Fig.5-A)。
・HPLC-ELSD分析の結果、TS融点由来の吸熱ピークが消失した洗浄2回目と3回目の間での粉末中のTS含量はほとんど減少しなかった(Fig.5-B)。

THF洗浄によって余剰なTSが除去し、包接されたTSが残存することが示された。

Fig.5 TS-αCDのTHF複数回洗浄によるTS融点由来の吸熱ピーク及びTS含量の変化
A:THF洗浄によるTS由来の吸熱ピークの変化 B:THF洗浄によるTS含量変化

αCDのTG包接選択性試験 (実験処方)

目的
αCDのTGに対する包接選択性を検証する。

実験
・操作は前述の実験方法に従った。
・サンプルについては、αCD濃度が異なる3種類のサンプルを調製した(Table 1)。

サンプル 試薬 分量 (g) 分子量 モル比
A1 TS 0.1 891.48 1.0
TO 0.1 885.43 1.0
αCD 1.0 (dry) 972.84 10.9
A2 TS 0.1 891.48 1.0
TO 0.1 885.43 1.0
αCD 2.0 (dry) 972.84 21.8
A3 TS 0.1 891.48 1.0
TO 0.1 885.43 1.0
αCD 3.0 (dry) 972.84 32.7

Table 1 TS、TO及びαCDの実験処方

αCDのTG包接選択性試験

TG-αCD複合体調製液の外観
(複合体調製工程 4℃、18時間静置後)

・コントロール、A1 及びA2サンプルは、乳白色の浮遊物が多く見られたが、A3サンプルでは、その浮遊物が目視では明らかに少なかった(Fig.6)。

Fig.6 TG-αCD複合体調製液

A3サンプルのTG分析
・A3サンプルをTHFで洗浄したところ、洗浄3回目にDSC分析におけるTS融点由来の吸熱ピークの消失が確認された(data not shown)。
・洗浄後のA3サンプルから抽出したTGのHPLC-ELSD 分析の結果、その組成比が、オリジナルのTS、TO比と比べて、 明らかにTSが高いピーク比を示した。

αCDによるTS包接選択性が認められた。

Fig.7 A3サンプル抽出物のTG分析
1:TO  2:TS

TG-βCD、γCD洗浄工程の予備検討

目的
βCDやγCDにおけるTGの包接選択性について検証するため、βCD及びγCDでの試験に適する洗浄溶媒について検討を行った。

実験
①従来法により、TS30%含有βCD複合体粉末(TS-βCD)または、γCD複合体粉末(TS-γCD)を調製した。
②αCDの場合と同様の手順で、DSC分析にて洗浄性を評価した。

結果
TS-βCD、TS-γCDいずれにおいてもTHFのみがTS融点由来の吸熱ピークを減少させた。

TG-βCD及びγCDいずれにおいてもαCDと同様、THFが洗浄溶媒として有用である可能性が示唆された。

Fig.8 有機溶媒洗浄によるTS-βCD及びTS-γCDのTS融点由来の吸熱ピークへの影響
A:TS-βCD  B:TS-γCD

TS-βCD、γCDのTHF洗浄性検証

・TS-βCDはTHFで3回洗浄するとTS融点由来の吸熱ピークが消失した。また、吸熱ピーク消失後の洗浄によってTS含量が減少した(Fig.9-A)。
・TS-γCDはTHFで2回洗浄するとTS融点由来の吸熱ピークが消失した。また、吸熱ピーク消失後に洗浄を行ってもTS含量はほとんど減少しなかった(Fig.9-B)。

Fig.9 THF複数回洗浄におけるTS-βCD及びTS-γCDのTS融点由来の吸熱ピーク及びTS含量への影響
A:TS-βCDのTHF洗浄によるTS融点由来の吸熱ピークの変化(A-1)及びTHF洗浄によるTS含量の変化(A-2)
B:TS-γCDのTHF洗浄によるTS融点由来の吸熱ピークの変化(B-1)及びTHF洗浄によるTS含量の変化(B-2)

α、β、γCDのTG包接選択性試験 (実験処方)

目的
α、β、γCDのTGに対する包接選択性を検証する。

実験
βCDの水への溶解度の低さや、γCDは濃度が高い状態ではTGと攪拌している際にペーストになりやすいといった問題点から、TG及びCD濃度が低い複合体調製液の系で検証を行った。
・操作は前述の実験方法に従ったが、全体のサンプル量は3倍量の設定で行い、TS、TO及びCDの処方については、Table 2に示した。

サンプル 試薬 分量 (g) 分子量 モル比
αCD TS 0.15 891.48 1.0
TO 0.15 885.43 1.0
αCD 3 972.84 20.2
βCD TS 0.15 891.48 1.0
TO 0.15 885.43 1.0
βCD 3 972.84 17.3
γCD TS 0.15 891.48 1.0
TO 0.15 885.43 1.0
γCD 3 972.84 15.1

Table 2 TS、TO及びα、β、γCDの実験処方

α、β、γCDのTG包接選択性試験

各TG-CD複合体調製液の外観
(複合体調製工程 4℃、18時間静置後)

いずれのCDサンプルにおいても、乳白色の浮遊物が観察されたが、目視では、CDなしサンプルよりCDありのサンプルはその浮遊物が少なかった(Fig.10)。

Fig.10 各TG-CD複合体調製液

各TG-CDのTG分析
・各TG-CD粉末をDSC分析におけるTS融点由来の吸熱ピークが消失するまでTHFで洗浄した。
(洗浄回数はそれぞれαCD7回、βCD4回、γCD4回)
・洗浄後サンプルから抽出したTGのHPLC-ELSD 分析を行ったところ、TG-αCD及びTG-γCDにおいて、その組成比が、オリジナルのTS、TO比と比べて、明らかにTSが高いピーク比を示した。

αCD及びγCDによるTS包接選択性が示された。

Fig.11 各TG-CD抽出物のTG分析
1:TO  2:TS

結論

一価不飽和脂肪酸トリグリセリドであるトリオレインと飽和脂肪酸トリグリセリドであるトリステアリンの混合系において、αCD及びγCDはトリステアリンの包接選択性を持つことが示された。

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