第44回 α-シクロデキストリンによる コレステロール低減効果機構の解明|株式会社シクロケムバイオ
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研究情報
研究成果

第44回 α-シクロデキストリンによる コレステロール低減効果機構の解明

ニュースリリース(2014.7.10)

本研究結果は、2012年9月7日(金)、第29回シクロデキストリンシンポジウム(9/6~7、星薬科大学(東京)にて開催)において発表しました。

α-CD摂取効果 - 過去の知見と課題 -

α-CDの摂取による血中コレステロール低減効果が報告されている。
一方で、α-CDとコレステロールは相互作用しないことが知られている。

α-CDはコレステロールの吸収阻害に間接的に働いている?

脂質の小腸吸収

摂取した脂質の吸収性には、胆汁酸ミセルへの取り込みが重要

H. Yano, et al. (2009).

胆汁の構成成分

  胆嚢胆汁
胆汁酸(mM) 72.1(68%)
レシチン(=リン脂質)(mM) 25.8(23%)
コレステロール(mM) 8.1(7.6%)
水分(%) 84

「胆汁酸と胆汁」創英社

胆汁の成分の内、α-CDと結合できるのはレシチンのみ。

仮説
摂取したα-CDは腸内で胆汁酸ミセル中のレシチンと結合する。

 ↓

胆汁酸ミセルの性質が変化

 ↓

脂質が胆汁酸ミセルに取り込まれにくくなる。

 ↓

脂質の吸収性が低下する。

本研究
人工腸液中に対するα-CDの添加効果について、

  • α-CDとレシチンとの結合
  • α-CD存在下における人工腸液への脂質の溶解性

について検討を行った。

人工腸液

脂溶性薬剤の小腸吸収予測モデル

M. Vertzoni, et al. (2004)

Fig. 1. α-CDによる人工腸液の濁度上昇

振とう2時間後の人工腸液の濁度

人工腸液にα-CDを加えると沈殿物ができる。

Fig. 2. α-CDとレシチンとの結合

α-CD添加時(3%)の人工腸液

レシチンとα-CDが存在する場合のみに析出物が生成する。

→ α-CDは人工腸液中のレシチンと結合している。(析出物はα-CD-レシチン包接体)

Fig. 3. コレステロールの溶解性試験

α-CDは、コレステロールの溶解性低減させた。

まとめ

α-CD胆汁酸ミセルからレシチンを析出させ、小腸液における脂質の溶解性を低下させた。

α-CD摂取による血中コレステロール低減効果について、その機構の一つが明らかとなった。