第57回 α-シクロデキストリンによるフェルラ酸の水溶化|株式会社シクロケムバイオ
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研究情報
研究成果

第57回 α-シクロデキストリンによるフェルラ酸の水溶化

本研究成果は、2013年9月13日(金)、第30回シクロデキストリンシンポジウム(9/12~13、熊本県民交流館パレア(熊本)にて開催)において発表しました。

背景

当社ではシクロデキストリン(CD)の包接機能を利用して、機能性成分の水溶性、安定性、生物学的利用能などを向上させる技術を有しております。それらの成果は化粧品、食品等の様々な分野で広く利用されています。

米糠や小麦のふすまなどに含まれる『フェルラ酸』は、高いアンチエイジング作用を有する機能性食品成分として注目されています。しかし、フェルラ酸は水溶性が低いため体内へ効率よく吸収されないことが問題とされています。

そこで今回は、吸収性の高い健康食品および機能性化粧品素材を目指したフェルラ酸の水溶性改善について、CDを用いた検討を行いましたので報告します。

フェルラ酸

米糠や小麦のふすまなどに含まれるポリフェノール

効果
抗酸化作用 / 美白作用 / 大腸がん抑制作用 / 血糖値・血圧降下作用 / 脳機能改善作用

フェルラ酸は水溶性が低く、機能性成分として生物学的利用能が低い。
一般的に、可溶化剤などで脂溶性物質の水溶性を高めることは、それらの生物学的利用能の向上につながる。

→ 本研究では、CD包接を利用したフェルラ酸の水溶性向上について検討した。

実験

用いたCD

天然型CD
“α-CD”、“β-CD”、“γ-CD”

分岐型CD
天然型CDより水溶性が高い。

操作:フェルラ酸100mg量り取り、各濃度のCD水溶液 2mLを添加し、一晩振とう(25℃)後、0.2μmフィルターでろ過・HPLCにて分析

結果

フェルラ酸の溶解度相図

フェルラ酸の溶解度の変化はCDの種類によって異なり、α-CDが最も効果的にフェルラ酸の溶解度を上昇させた。

まとめ

α-CDを用いることで、高濃度のフェルラ酸水溶液を作成することができた。

→ 吸収性の高いフェルラ酸素材として、飲料への配合やサプリメントとしての利用が期待できる。