第60回 シクロデキストリンによるケラチンタンパク質の変性防止効果|株式会社シクロケムバイオ
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研究情報
研究成果

第60回 シクロデキストリンによるケラチンタンパク質の変性防止効果

背景

当社ではシクロデキストリン(CD)の包接機能を利用して、機能性成分の水溶性、安定化、バイオアベイラビィティなどを向上させる技術を有しております。それらの成果は化粧品、食品等の様々な分野で広く利用されています。CDはタンパク質とも相互作用することが知られており、当社の検討からもCDによるキウイタンパク質(アクチニジン)の安定化作用が示されています(※詳しくは、当社ホームページの最新研究成果「第43回」を参照して下さい)。

界面活性剤は、化粧品、シャンプー、歯磨き粉、食器用洗剤など日常生活において多種多様な場面で使用されていることから、肌や頭髪に接触することの多い物質です。しかし、界面活性剤は、タンパク質を変性させることから肌荒れや皮膚炎の原因物質として問題になることがあります。そこで今回は、界面活性剤によるケラチンタンパク質(髪の毛の主成分)の変性におけるCDの添加効果について検討を行いました。

実験方法

方法

界面活性剤による変性は、タンパク質表面に露出したシステイン残基の量の変化を分析することで評価した。

  1. ケラチンに、界面活性剤としてドデシル硫酸ナトリウム(SDS)水溶液とCD水溶液を入れて室温で12時間反応させる。
  2. 反応溶液を除き、ケラチンを精製水とリン酸緩衝液(pH8)で洗う。
  3. 洗浄したケラチンに、エルマン試薬(DTNB)溶液とリン酸緩衝液を入れて30分後の溶液の吸光度(412nm)を測定する。

    検量のためにL-システインを用いた。

結果

Fig. 1. 界面活性剤によるケラチンタンパク質の変性
  • CDによりケラチンタンパク質の変性を防止することができた。
  • HP-β-CD>α-CD>γ-CDの順に変性防止効果が高かった。

まとめ

本検討から、CDが界面活性剤によるタンパク質の変性を防止することが明らかになりました。この結果はCDを含む新たなヘアケアおよびスキンケア商品の開発に応用することができます。