気分の落ち込みをサポートする元気サプリSAMeとは
今回は、精神疾患に有効なS-アデノシルメチオニン(SAMe)のお話です。
まず、警視庁発表データです。皆さんは日本の2008年の自殺者数は32,845人、年間人口10万人あたり26人も自殺していることをご存知でしたか?この自殺者数は2008年の交通事故死者数が4,914人でしたので、それよりも約7倍高い数字であり、国内の死因別順位で第7位、そして、不名誉にも日本の自殺者数は主要7ヶ国の中で第1位となっています。
自殺の背景には、うつ病をはじめとする様々な精神疾患が関連しています。残念ながら治療を受けていない場合が多いようで、精神科医療の改革や診療の質の向上が求められています。そのような中、うつ病予防に大変有効なSAMeが2008年に機能性食品素材として日本で扱えるようになりましたが、残念ながら日本でのSAMeの認知度はまだまだ低いのです。自殺を考える日本人が、このSAMeのサプリメントにさえ出会えれば、自殺者数は主要7ヶ国の1位から脱出できるのですが・・・・
では、そのSAMeとはどういったものでしょうか?
先ず、その歴史的な背景を簡単に紹介しておきます。
SAMeは、生体内に存在する天然物質として、1952年にイタリアで発見されました。1974年には、ヨーロッパで関節炎、抗うつ、肝疾患の医薬品として使用されるようになりました。そして、米国では、1999年に「気分の落ち込みをサポートするサプリメント」として販売され、いまでは、うつ病対策の切り札、注目のサプリメントとして広く知られています。
SAMeの生体内での機能には、『抗うつ作用』、『肝機能改善作用』、そして、『関節痛改善作用』の3つの働きがあります。それぞれ、『抗うつ作用』は「メチル基供与体としての神経伝達物質の合成促進」、『肝機能改善作用』は「グルタチオンやタウリンの合成促進と胆汁の生成・分泌促進」、 そして、『関節痛改善作用』は「硫黄基供与体としてのコンドロイチン硫酸、硫酸グルコサミンなどの軟骨成分の合成促進、及び、ポリアミンの合成促進」によってもたらされていることが既に分かっています。中でもSAMeの『抗うつ作用』は1973年から1995年までに合計患者数1,359人が参加し、39の医学論文が報告され、医薬品の抗うつ病治療薬(イミプラミンという三環系抗うつ薬)と同等の効果があり、副作用の点でこの医薬品よりも安全性の高いことが確認されたのでした。
では、そのSAMeの作用機構とは・・・・・・・
うつ病の人の脳の中では、神経伝達物質であるセロトニンとノルアドレナリンが非常に少なくなっています。それが理由で、意欲や気分をつかさどる脳の機能が低下し、抑うつ症状が起こっているのです。セロトニンは睡眠・体温調節などの生理機能と、気分障害やドーパミンやノルアドレナリンなどの感情的な情報をコントロールし、精神を安定させる働きを持っており、ノルアドレナリンは覚醒、集中、記憶、積極性、痛みをなくするなどの働きを持っているのです。そういった精神を安定させる神経伝達物質を体の中で作ってくれるのがSAMeなのです。
もう少し詳しく説明すると・・・・SAMeは生体内において、トリプトファンからのセロトニン合成における反応促進剤として働きます。また、ノルアドレナリンはチロシンからドーパミンを経由して合成されるのですが、SAMeはチロシンからのドーパミン合成における反応促進剤としても働くのです。つまり、SAMeを摂取すると神経伝達物質のセロトニンとノルアドレナリンが生体内で増加し、うつ状態が改善されるのです。
ただ、SAMeにはサプリメントとして大きな欠点がありました。SAMeは、生体内では安定に存在するのですが、空気中の湿気で容易に分解してしまいます。その問題を完全に解決したのが、γ-シクロデキストリン(γ-CD)でした。γ-CDでSAMeを包接化することによって18ヶ月もの間、室温で保存していてもほとんど分解されませんでした。
さらに、ラットを用いてSAMeを投与した際の生体吸収性を検討した結果があります。ラット(SD系、雄8週齢、n = 5)にSAMe量として、300mg/kgを投与し、各時間で採血し、LC-MS-MSで血漿中のSAMeを分析したところ十分な吸収性を確認できたのでした。