マヌカハニーを摂取するとなぜ腸内環境が改善されるのか?|株式会社シクロケムバイオ
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今、注目していること
2016.11.24 掲載

マヌカハニーを摂取するとなぜ腸内環境が改善されるのか?

腸内環境改善がQOLの向上に有効であることは今では常識となっています。

人間の腸内には数100兆個の腸内細菌が存在し、腸内細菌の内、健康に良い効果を与える『善玉菌』、悪影響を与える『悪玉菌』、優勢な方の味方になる『日和見菌』が戦っています。そして、『善玉菌』優位にすることで免疫を活性化し、花粉症の予防や改善、アトピー性皮膚炎や喘息の改善、がん予防、コレステロール低下、高血圧の改善、美肌効果といった様々な効果のあることは、ここでも何度か取上げてきていますので皆さんもご存知のことと思います。

マヌカハニーはメチルグリオキサール(MGO)という抗菌物質が含まれる特別の健康増進や美容効果のあるハチミツとして最近注目されています。しかし、常にMGOは抗菌物質なのに本当に善玉菌を殺さないのか?という質問が寄せられています。そのような質問に対し、私はここで善玉菌は増殖し、悪玉菌は減少させるとの幾つかの報告を紹介してきました。

しかしながら、その善玉菌の増殖の正確な理由は未だに解明されていません。そこで、今回は善玉菌増殖に関する2つの報告から私見を述べさせていただきます。

その一つ目の報告はニュージーランド・オークランドのRosendaleらのグループ(New Zealand Institute for Crop and Food Research Limite)の論文でタイトルはHigh-throughput microbial bioassays to screen potential New Zealand functional food ingredients intended to manage the growth of probiotic and pathogenic gut bacteriaで International Journal of Food Science and Technology 2008, 43, 2257–2267に報告されたものです。

図1. 腸内の善玉菌と病原菌のマヌカハニーによる増減
図1. 腸内の善玉菌と病原菌のマヌカハニーによる増減

図1に示しますように、マヌカハニーの濃度の上昇とともに善玉菌である2種類の乳酸菌とビフィズス菌は有意(P < 0.05)に増殖し、病原菌である黄色ブドウ球菌、大腸菌O-157、サルモネラ菌は有意(P < 0.05)に減少していくことが判ります。このようにビトロ試験(試験管)では、明らかに、MGOマヌカハニーはその濃度とともに善玉菌が増殖することが示されています。尚、図1のΔ増殖は以下の式から算出されたものです。

Δ増殖=(実際のOD-ブランクOD)×100/(コントロールOD-ブランクOD)-100

もう1つの報告は、山村国際高等学校の高校生の高野さんの発表です。

この検討結果で注目されたのは

「メチルグリオキサール(MGO)を900mg/kg以上も高濃度に含有するマヌカハニー(MGO900+といいます。)ではなくてもマヌカハニーMGO250+(250mg/kg以上)にプレバイオティックスとして用いられるオリゴ糖(塩水港精糖の「オリゴのおかげ」を使用)を添加すれば、善玉菌の割合が増加する。(腸内フローラの改善)」

ということですが、もう1つ、図2で注目していただきたいのは、乳酸菌の増殖にはハチミツが関与するのではなくMGOが関与しているらしいということです。

図2. マヌカハニーによるマウス腸内フローラの変化
図2. マヌカハニーによるマウス腸内フローラの変化

MGOマヌカハニーではなくMGOのみをマウスに与えた場合も乳酸菌の増殖が観られます。その一方、MGOを含まないハチミツでは乳酸菌の増殖は観られていません。

つまり、ハチミツに含まれるグルコン酸などの善玉菌増殖作用のある物質が無くてもMGOでも増殖していることを意味します。MGOが乳酸菌の増殖に関与しているのです。

……ということで私見を述べさせていただきます。

乳酸菌はブドウ糖や果糖をエネルギー源にして増殖し、乳酸を産生して悪玉菌の増殖を防ぐことが知られています。ブドウ糖や果糖の無いところでMGOを添加しても乳酸菌は増殖するので乳酸菌はMGOもエネルギー源にできるメチルグリオキシラーゼ等の何らかの酵素を持っていると考えられます。つまり、マヌカハニーに含まれるMGOは大腸に到達すると乳酸菌の餌となると考えます。

そして、その乳酸菌がMGOを取り入れて産生する物質の1つが乳酸だったらさらに面白いと考えます。

乳酸菌にMGOを与えて乳酸が発生するかどうか観ましょうか?