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今、シクロケムが注目していること
αオリゴ糖は腸内フローラを良い状態に変えて動脈硬化を防ぐ

スーパー難消化性デキストリンとして知られるαオリゴ糖(α-シクロデキストリン)に、また新たな効能が発見されました。αオリゴ糖には腸内フローラを改善してアテローム性動脈硬化を抑制する作用のあることが明らかとなりました。

米国National Institutes of Health(NIH)のSakuraiらのグループが学術誌のMolecular Nutrition & Food Researchに投稿し2016年12月に受理された論文の内容を紹介します。
(Dietary α-cyclodextrin reduces atherosclerosis and modifies gut flora in apolipoprotein E-deficient mice T. Sakurai et al, Molecular Nutrition & Food Research (2016))

論文内容に入る前にこの論文の興味深さを増すためにも、まず、動脈硬化の説明、さらに、これまでに知られている動脈硬化の予防に有効な機能性成分について説明しておきます。

動脈硬化とは動脈の血管壁が厚く、硬くなり、本来の機能を発揮できなくなる状態をいいます。危険因子によって血管の内膜が障害を受けると、次第に、コレステロールと様々な細胞を内壁に蓄積して粥腫(アテローム)を形成し、その後、次第に病変(プラーク)となります。その結果、血管は狭くなり、血栓や潰瘍を形成します。これが原因になり、狭心症、心筋梗塞、脳梗塞、大動脈瘤、手足の壊死などが起こることが知られています。

これまでに生体内試験(in vivo)でアテローム性動脈硬化の抑制に効果があるといわれている成分には、イヌリン、ブルーベリー、魚油、テルミサルタンなどがあります。その中で、イヌリンの論文では、アテローム性動脈硬化モデルマウスであるApoE欠損マウス(コラム参照)にイヌリンを10%含有する高脂肪食を与えることによって、血中と肝臓中のコレステロールやトリグリセリドの数値が減少し、病変部位が減少したとして、イヌリン摂取によってアテローム性動脈硬化の進行を抑制できたと報告されています。

では、この論文の内容に入ります。尚、内容のポイントを判りやすく解説するため、この論文のすべての検討項目を記載していないことをご了承ください。

試験方法は8週齢のApoE欠損マウスを5群にわけ、11週間、図1に示す飼料を与えています。各成分の投与量は1.5%です。マウスの摂餌量が1日あたり2-3gとしたときに30mgから45mg摂取することになります。

図1. ApoE欠損マウス5群に与えた飼料

まず、大動脈の病変部位を観察しています。解剖時に大動脈を取り出し、オイルレッドで脂質溜まりを染色しています。図2のAが染色した時の写真でBがその面積を示した結果です。低脂肪餌(LFD)群にくらべ、高脂肪餌(ウエスタンダイエット、WD)群では病変部位が多く、αオリゴ糖を1.5%含有する高脂肪餌(WDA)群はWD群に比べて65%抑制し、LFD群と同程度まで抑えられていることがわかります。アテローム性動脈硬化の進行を抑制できると報告されているイヌリンを1,5%含有する高脂肪餌(WDI)群はWD群と病変部位の面積は殆ど大きな違いはありませんでした。

図2. ApoE欠損マウスの病変部位に対する各飼料の影響

次に、血中、肝臓中、糞中の脂質量を調べていますが、各成分の投与量が僅か1.5%で脂質の変化に影響を及ぼす量ではないことからどの群にも殆ど有意差がないことを確認しています。(論文には詳しく結果を記載していますが、ここでは省略します。)

ところが、各成分の投与量が僅か1.5%であっても、有意差が観られる項目がありました。それは腸内細菌叢の変化です。

まず、腸内細菌の中でコマモナス科の細菌は高脂肪餌(WD)群で全く増加していませんが、αオリゴ糖を1,5%含有する高脂肪餌(WDA)群では有意に増加しています。この科に属する菌とアテローム性動脈硬化の病変部位の面積は負の相関を示しています。つまり、この科に属する細菌がαオリゴ糖を摂取して増えると病変部位は減少することが分ります。

図3. 各成分摂取による腸内細菌中のコマモナス科細菌の増減

一方、ペプトストレプトコッカス科の細菌は高脂肪餌(WD)群で増加傾向にあり、αオリゴ糖1.5%含有高脂肪餌(WDA)群で減少傾向にあります。このようにWDA群の細菌数と病変部位は正の相関を示しています。つまり、この科に属する細菌がαオリゴ糖を摂取して減少すると病変部位も減少することが分ります。

図4. 各成分摂取による腸内細菌中のペプトストレプトコッカス科細菌の増減

また、科レベルだけでなく、属レベル・種レベルでも、αオリゴ糖摂取による細菌の増減と病変部位の増減には正・負の相関がみられ、αオリゴ糖を摂取することで動脈硬化による病変は減少することが明らかとなっています。

図5. 各成分摂取による腸内細菌中のTuricibacterium属の増減

図6. 各成分摂取による腸内細菌中のDehalobacterium属の増減

以上、ApoE欠損マウスに高脂肪餌(WD)を与えるとアテローム性動脈硬化、そして、病変(プラーク)を形成しますが、αオリゴ糖を1.5%摂餌させることで、アテローム性動脈硬化による病変部位が減少することが判明しました。さらに、そのαオリゴ糖の摂取量では血中や肝臓中の総コレステロール値やトリグリセリド値などの脂質の変化はなく、その病変部位の減少には腸内細菌の増減が関与していることも明らかとなりました。病変部位の減少にはαオリゴ糖によって増加した腸内細菌の代謝産物が影響していると考えられます。

コラム:アテローム性動脈硬化マウスであるApoE欠損マウスについて

ApoE(アポリポタンパクE)は、主にLDL、HDLに存在するタンパク質である。食事から取り込んだ脂質の運搬、細胞から脂質を引き抜く。このタンパク質を作る遺伝子をノックアウトすることで、血中脂質量が増加し、アテローム性動脈硬化を引き起こす。

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