R-αリポ酸の効能とS-αリポ酸の毒性に関する論文の要約と考察(16)
このシリーズでは、ダイエット志向の若い女性からロコモティブシンドロームやサルコペニアになる危険性のある高齢者まで多くの方々に健康で幸せな生活を送ってほしいとの思いで、なぜ、日本人にはR-αリポ酸が必要なのか、なぜ、日本では健康に危害を与える可能性のあるS-αリポ酸を含有するラセミ体のサプリメントが販売されているのか、について理解できる論文を紹介してきました。
機能性食品先進国の米国は食品素材の機能性に関する情報がすべての国民に難なく入るのですが、日本では薬機法の関係で医薬品ではない食品素材の効果効能に関して情報はほとんど入らず、米国より20年の遅れをとっています。その結果、日本の『寝たきり高齢者』の数は米国人の5倍となっていると言われています。とすると、日本の人口は米国の3分の1ですので日本人が『寝たきり高齢者』になる確率は米国の15倍となります。
この『今、注目していること』は莫大な学術論文から最新の有益な情報を入手し、多くの方々に、それらの情報を提供することを目的としています。今回のシリーズで最も知ってもらいたかったこと、それは、αリポ酸はダイエット素材として、日本において一時的にブームになりましたが、①αリポ酸の本来の訴求点はダイエットではなく、糖尿病や動脈硬化などの生活習慣病の対策や高齢者の介護予防にあること、②糖尿病患者などの疾病者にとってαリポ酸ラセミ他は有毒であり、効能効果を持つ本来の物質は天然体のR-αリポ酸であること、そして、③R-αリポ酸は胃酸によって分解を受け、生体利用能が低いという問題があったが、γ-シクロデキストリン包接化技術でその問題が解決したことです。
現在でも、ラセミ体の問題が明らかにもかかわらず、αリポ酸ラセミ体のサプリメントや日本では認可されていないR-αリポ酸ナトリウム塩(R-ALA Na)を使用した米国のサプリメントが日本に輸入され販売されている事実があります。αリポ酸サプリメントを選ぶ際には、必ず、R-αリポ酸であること、そして、成分表示に『シクロデキストリン』または『環状オリゴ糖』が入っているものを選ぶようにしましょう。