冬場の乾燥とドライマウス|株式会社シクロケムバイオ
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2012.12.13 掲載

冬場の乾燥とドライマウス

「ドライマウス」「ドライアイ」「ドライスキン」など、加齢が原因で出てくる水分が足りなくなってくる病気。これらの症状に冬場の乾燥が重なると、さらにトラブルが大きくなっていきます。「ドライマウス」は日本語では口腔乾燥症といいますが、日本において、その潜在患者数は3,000万人、つまり4人に1人ともいわれ、進行すると口の不快感や痛みのみならず、会話や食事に支障をきたす疾患です。この病気を患っている人は、乾燥しがちな冬に特に気を付けなければなりません。

通常の人の唾液は1日に1.5リットルも分泌されています。この液体は単なる水ではなく、噛み砕く、味わう、飲み込む、といった飲食にかかわり、話す、笑うことを助け、虫歯菌や歯周病原菌などの口腔細菌を除去して口内細菌による糖尿病や動脈硬化の悪化を防ぎ、また、高齢者の誤嚥性肺炎もドライマウスによる唾液量の不足で危険性が高まるなど、人の健康にとって大変重要な働きをしていることが分かっています。

冬の乾燥とドライマウスの両方で、「のど」の粘膜がひどく乾燥すると、風邪やインフルエンザなどのウイルスや細菌に感染する可能性が極端に高くなります。

「のど」の粘膜には線毛(せんもう)という、小さな毛のような組織がありますが、毎秒約15回の速さで活発に運動しています。通常は、鼻や口から侵入したウイルスや細菌などが「のど」の粘膜に付着しても、線毛運動によって、せきや痰と一緒に体外に排出し、体内への侵入を防いでいます。ところが、この粘膜が乾燥すると、線毛の働きは悪くなり、ウイルスや細菌を排除する機能が低下します。その結果、ウイルスや細菌感染による「のど」の炎症から、単に風邪を引くだけでなく、ドライマウスから引き起こされた糖尿病などの他の疾患と合併症を患って、生命を脅かすほどの取り返しのつかない状態になることもあるのです。

では、どのように冬場の乾燥とドライマウスのダブルパンチを防げばいいのでしょう?

先ず、冬場の乾燥には、マスクの着用、のど飴、そして、チューインガムがお勧めです。「のど」に違和感があり、少し痛い、と感じた時、それはあきらかに風邪などの初期段階ですので、マスクの着用、のど飴を舐めること、チューインガムを噛むことなどで少しでも唾液を増やして「のど」を保湿すると、それ以上の進行を抑えることができます。

次に、ドライマウスに対する予防や対策ですが、これは少しやっかいです。ドライマウスの原因は複合的で、加齢だけでなく、ストレス、生活習慣病、喫煙などのさまざまな環境要因がありますが、最近になって、唾液腺の劣化、つまり「錆び」の関与が明らかとなってきました。そして、この唾液腺の「錆び」を取り除く方法としてコエンザイムQ10の摂取が有効であることが分かってきたのです。

コエンザイムQ10は、唾液をだす細胞におけるミトコンドリアでエネルギー産生による細胞活性化によって唾液生産を促し、抗酸化作用の働きで唾液腺の「錆び」も取り除くことができます。ドライマウス患者だけでなく、冬場の乾燥を乗り切るためにもコエンザイムQ10の摂取はお勧めです。ところが、コエンザイムQ10は摂取しても吸収性の悪い物質です。サプリメントでコエンザイムQ10を補うのであれば、「シクロデキストリン」とか「包接体」とか袋に書かれているものを選びましょう。