マヌカハニーのUMFとMGOの違い
マヌカハニーのUMFとMGOの違いの質問をよく受けます。これまでにもブログや講演会、様々なところで、その違いを説明してきましたが、再度、この『健康まめ知識』で説明させていただきます。ただ、MGOマヌカハニーもUMFマヌカハニーもニュージーランドを原産国とするマヌカハニーとしては同じものであり、抗菌成分の分析方法が違っているだけであることはご理解いただいているものとして説明いたします。
UMFはユニーク・マヌカ・ファクター(Unique Manuka Factor)の略です。マヌカハニー研究の世界的権威であるニュージーランドのピーター・モラン博士はマヌカハニーが特有の抗菌活性を持ち健康増進効果を示すハチミツであることを発見していたのですが、当時、その抗菌活性成分がいったいどういったものであるか、当時はまったく判っていませんでした。そこで、フェノール水溶液の各フェノール濃度の抗菌力に合わせた数字を抗菌活性力の指標として確立し、そのレベルをUMFとし、抗菌物質であるメチルグリオキサール(MGO)が発見されるまで広く使われてきました。
ユニーク(Unique)という言葉の意味は、「ただ1つの」とか「特別」の意味です。ただ、現代では「変わっている」「独特」「面白い」というニュアンスで使う言葉でもあります。ピーター・モラン博士は“特別のハチミツ”であることを強調したかったのだと思われます。
ただ、正確に表現するならユニーク(Unique)ではなく未確認(Unidentified)という言葉を使うべきだと思われます。あの未確認飛行物体(UFO、Unidentified flying object)と同じように当時はマヌカハニーの抗菌成分が特定できない未確認の物質だったからです。
そのような理由から、マヌカハニーに関する私の講演やセミナーではUMFのことを未確認マヌカファクターと呼ばせていただいております。マヌカハニーに含有する抗菌成分のMGOはニュージーランドではなく、ドイツのドレスデン工科大学のトーマス・ヘンレ博士によって発見されました。この発見によって抗菌成分がMGOであることが判りましたので、フェノール水溶液濃度を指標とする曖昧な評価法を使用する必要なくなりました。
では、なぜ、MGOがこれまで判らなかったのでしょうか?
MGOは水溶液中では分子単体で存在していなく、MGO分子同士、あるいは、タンパク質、アミノ酸、糖質と結合した状態で存在しているからです。しかし、その結合はゆるいのでMGOが消失したわけではありません。そこで、MGOの分子同士やタンパク質などよりも強固な結合を形成する分子を用いてそれがMGOであったことを証明したのでした。
MGOとUMFの違いをご理解できたでしょうか?
では、ヘンレ博士がMGO発見後のモラン博士との関係です。モラン博士はヘンレ博士の発見を称え、MGO分析法をモラン博士自身も使用するような親友関係を築いたのでした。
彼らのマヌカハニーの抗菌活性の発見とマヌカハニーの抗菌物質MGOの発見から3年後、日本の私の研究チームは『マヌカハニーとαオリゴ糖による相乗的な抗菌活性の向上』を発見し、マヌカハニーをマヌカαオリゴパウダー(MAP)とすることで健康増進効果が飛躍的に高まることが明らかとなってきました。そのような3つの発見が理由で、2016年2月にモラン博士、ヘンレ博士、テラオ博士(私のこと)の3人の対談が決定しました。
しかし、残念ながら、その対談予定日の前にモラン博士は亡くなり、この対談は成立しなかったのでした。モラン博士のご冥福をお祈りいたします。