難消化性αオリゴ糖はヒト試験で真の悪玉の小型LDLコレステロールを低減することが判明しているのに、なぜ、機能性表示食品として受理されないのか?
日本人の食事は欧米化が進み、過去60年間の食事パターンは大きく変化しています。そして、そのことが冠動脈疾患の死亡率にも影響しています。久留米大学のグループはコホート研究で栄養摂取量の変化と冠動脈疾患リスク因子、そして、死亡率の関係を調査し、2020年1月にHeart and Vessels誌にその研究結果を掲載しています。
その報告によりますと、1日の総エネルギー摂取量は1958年には2,837kcal摂取していましたが2018年には2,096kcalまで減少しており、特に炭水化物摂取量の全食事量に対する割合は日本食中心であった1958年には84%でしたが、食事に欧米化が進んだ2018年には53%に減少しています。その一方で脂肪摂取量は1958年には5%でしたが、2018年には24%に大幅に増加しています。その結果、平均コレステロール値も1958年には167.9mg/dlでしたが、2018年には209.4mg/dlへと、日本ではこの60年間で急激に上昇していることが判明しています。
このように脂肪摂取量の増加にともなって総コレステロール値が高値に上昇しており、冠動脈疾患や心筋梗塞による突然死は増加しているのですが、本当に総コレステロール値や悪玉コレステロールと言われているLDLコレステロールだけで危険度を判断していいのでしょうか?それでは、自分自身の、あるいは、家族や身の回りの方の健康を守ることは出来ないと思います。
なぜなら、最近、総コレステロール値ではなく、LDLコレステロールとHDLコレステロールに分け、さらに、LDLコレステロールを大型と小型に分けた小型LDLコレステロールが真の悪玉コレステロールであり、この小型LDLコレステロールが冠動脈疾患の本当のリスク因子であること、そして、大型LDLコレステロールとHDLコレステロールは何れも体に必要なものであることが分かってきているからです。
たとえばLDLコレステロール値が130mg/dlであった場合、120~139mg/dlの軽度異常領域にあり、この数値であれば、だれもが深刻な検査結果だとは思いません。しかしながら、このLDLコレステロールを大型と小型に分けて、その小型LDLコレステロール値が50mg/dlと高値の場合があり、その場合は冠動脈疾患による突然死の危険性は非常に高いと考えられます。私の身近でも、小型LDLコレステロールが高いと思われる人が、大動脈剥離を起こし、一生涯、透析を続けなければならなくなった人や足の動脈硬化(下肢閉塞性動脈硬化症)による足のしびれや痛みを放置し、脳卒中で倒れた人がいます。
難消化性αオリゴ糖には、その小型LDLコレステロールを低減させる作用があり、現在のところ、脂肪の吸収を抑える食物繊維の中では唯一のスーパー食物繊維と言えます。そこで、食の欧米化が進み、突然死の危険度が増している日本人に、少しでも早く、難消化性αオリゴ糖を摂取する習慣をつけてもらいたいと思い、消費者庁へ機能性表示食品としての届出をしました。かならず、この超高齢社会における医療費の削減にもつながります。
しかしながら、消費者庁からの回答によると、小型LDLコレステロールは、いまだに一般の人への認知度が低く、基準値が決められていないので、被験者が健常者であるかどうかの判断がつかないため認められないとのことです。ただ、これまでに受理された機能性表示食品の中には基準値の無いものが存在しています。
基準値がないために機能性表示できないのであれば『肌に水分を保持し、肌の乾燥を緩和する機能』、『睡眠(眠りの深さ、すっきりとした目覚め)の質を高める機能』、『中高年の方の記憶力を維持する機能』など、どのような基準値があるのでしょうか?
消費者庁はこれまでの完全な届出書類を受けて小型LDLコレステロールが非常に重要な値であることは理解したので、今後、基準値も決まってくると考えるので、その意味では、完全な否定ではなく時期尚早だと考えている、とのことです。
‥‥小型LDLコレステロール値が重要だと理解したのに時期尚早と判断したのです。
超高齢社会における医療費削減のために機能性表示食品制度は必要だったはずです。これまでの研究報告から小型LDLコレステロールを減らすことは医療費削減にかならずつながると考えられます。にもかかわらず“時期尚早”というからには何かの力が働いていると考えられないでしょうか?
受理されれば、未病の多くの方々の突然死の危険度が減少するにもかかわらず。