アスリートの疲労臭は難消化性αオリゴ糖で解決！

アスリートにとって体作りに欠かせないのがプロテインの摂取です。しかしながら、プロテイン飲料を過剰に取っていると、石鹸で洗ってもデオドラント剤を使っても消せない『疲労臭』と呼ばれるツンとくる刺激臭のとても厄介な体臭が発生するようになります。この疲労臭の正体、実は、アンモニアなのです。ご存知のようにアンモニアは尿の臭い成分ですが、なぜ、この尿の臭い成分が汗にも混じっているのでしょうか？

アンモニアは肉などに含まれるたんぱく質が分解されて発生します。たんぱく質は腸内で消化酵素のタンパク分解酵素（プロテアーゼ）によってアミノ酸や、これが複数つながったペプチドの形に分解されて体内に吸収されます。しかしながら、すべてが吸収されるわけではなく、吸収されないまま大腸に移行したアミノ酸や腸肝循環する尿素が腸内細菌によってアンモニアに変換され体内に吸収されるのです。

アンモニアは腸管から吸収されて体内に入ると、肝臓において尿素回路によって再び尿素に変換されて無害化され、尿と一緒に排出されるため気になるほどの臭いにはなりません。しかしながら、大量のプロテインを摂取していると腸内で発生するアンモニア量も増え、体内に大量に吸収され、肝臓では完全に処理しきれなくなります。さらに、疲労がたまってくると肝臓の機能は低下し、尿素回路は働かず、アンモニアは肝臓から血液中に移行して、カラダ中を駆け巡り、その結果、汗の臭い成分となるのです。

汗や尿の成分として排出されるだけなら、まだ、体臭の問題だけですが、怖いのは、アンモニアが健康に影響を及ぼす可能性です。肝臓でアンモニアを解毒できず、血中アンモニアが増加すると、高アンモニア血症という病気を発症します。そして、高アンモニア血症に陥ると、アンモニアによる脳障害（肝性脳症）、たとえば、意識障害、運動障害、言語障害等が引き起こされ、重度の場合は昏睡に至るのです。

門脈下静脈吻合し、実験的に血中アンモニア量増加によって肝性脳症を起こしたPCSラットを用いて、αオリゴ糖摂取による血中アンモニア量の低下に関しての検討がされています。（図2）に示しますように、コントロール群の血中アンモニア濃度は日数の経過とともに上昇していますが、αオリゴ糖水溶液投与群では、血中アンモニア濃度は時間の経過による変化がほとんどありませんでした。

αオリゴ糖は小腸内では消化酵素で分解されにくい難消化性の糖質ですが、大腸内ではゆっくりと腸内細菌によって分解され、酢酸やプロピオン酸などの短鎖脂肪酸に変換されることが知られています。このゆっくりと分解されて発生する短鎖脂肪酸は同時に大腸内で発生しているアンモニアとの反応によってアンモニアを消去して、腸内アンモニア量は減少し、アンモニアの腸管からの体内吸収を抑えてくれていると考えられます。

よって、体作りのためにプロテインを摂取しているアスリートは、プロテインとともに必ずαオリゴ糖を摂取しましょう。尚、アスリートにとってαオリゴ糖を摂取する利点は単に疲労臭の低減だけではありません。腸内でαオリゴ糖から作られているプロピオン酸によるスポーツパフォーマンスの向上効果も期待できます。ぜひ以下の記事も読んでみてください。