ひえ症や低体温症に効く?R-αリポ酸によるAMPK活性化|株式会社シクロケムバイオ
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2013.01.28 掲載

ひえ症や低体温症に効く?R-αリポ酸によるAMPK活性化

ひえ症、低体温症で悩まれている方が突然、難しそうなAMPKという言葉が出てきて、戸惑って読むのを諦める方もいらっしゃるかも知れませんので、先ずはAMPKの説明から入ります。

その前にATPは聞いたことがあると思います。ATP(アデノシン三リン酸)はエネルギーを電気的に蓄えた物質でその名の通りリン酸を3つ持っていて、このうち1つが外れるとエネルギーが発生し、それ自身はADPになります。つまり、トリ(T)からジ(D)に、そして、さらに1つが外れるとまたエネルギーが発生し、今度はジ(D)からモノ(M)であるAMPになります。ヒトは1日に体重と同じ位の重さのATPを合成し、さまざまな活動に利用していることからATPは『エネルギーの通貨』とも呼ばれています。

生体内にあるすべての細胞は『充電可能な電池』を持っています。その電池の『充電』とは細胞内にあるミトコンドリアのATP合成酵素によるATP合成です。一方で、ATP加水分解によるADP、AMPへの変換は電池の『放電』ということになります。細胞は充電不足を感知するため、AMP/ATP比をモニターするタンパクを持っているのです。そのエネルギーセンサーがAMPK(AMPキナーゼ)でAMPKが活性化すると脂肪や糖を燃焼させてATPを作ることができます。

以上、少し長くなりましたがAMPKの意味の説明でした。

次に、『ひえ症』と『低体温症』について説明を加えておきます。『ひえ症』と『低体温症』は似ているようで異なります。女性に多い『ひえ症』は実際の暑さ寒さにかかわらず、異常に冷えを感じる状態です。ひどい場合は夏でも手がかじかんでしもやけになることもあります。しかし、実際の体温は正常で、ひえを感じるのは手足などの末端であり、手足の血管が収縮して血流が悪いのが一因です。一方、『低体温症』は体の深部の体温が低くなる症状です。医学的な定義としては、本来37度くらいの体温が35度以下になることとされています。『ひえ症』の原因は筋肉が少なく(筋肉細胞が少なく)うまく熱が生産されない、言い換えれば、エネルギーの通貨、ATPがうまく生産されないことによると言われています。また、『低体温症』の原因は甲状腺機能低下症などの病気や運動不足、過度の食事制限、ストレスなどの生活習慣によるとされています。

この『ひえ症』や『低体温症』に対して有効と考えられる活性成分が、見つかったのです。それは、αリポ酸のR体です。αリポ酸には鏡に映して同じになる(左手と右手の関係にある)R体とS体が存在します。現在ほとんどのサプリメントに配合されたαリポ酸はこのR体とS体が50%ずつ入っているラセミ体と呼ばれるものです。しかしながら、私たち人間が元来体内に持っていて年齢と共に減ってくるαリポ酸は天然のR体の方です。

マウスの実験によって、その天然型のR体にAMPKを活性化する働きのあることが分かりました。つまり、運動した時に細胞はエネルギーがほしくなりAMPKを活性化させてエネルギーの通貨(ATP)を生産するのですが、R体のαリポ酸を摂取すればAMPK活性化にともないエネルギーが得られ、そして、その熱によって、『ひえ症』や『低体温症』が改善されるという可能性が出てきたのです。

また、血流改善が『ひえ症』の改善に有効であることは知られておりますので、心臓病薬としても知られているCoQ10も同時に摂取することがお勧めです。