朝食抜きと主食抜きによる小型LDLコレステロールの増加

LDLコレステロールが悪玉のコレステロールとして動脈硬化の原因になると信じている人は医療関係者の中にもいまだに多いのですが、LDLコレステロールはコレステロールを全身の細胞に届ける重要な役割があり、真の悪玉コレステロールはLDLコレステロールを直径25.5nm以上の大型と25.5nm未満の小型に分けて、真の悪玉は小型LDLコレステロール（以下、小型LDL）であったことを示す研究報告は多数あります。

朝食抜きや炭水化物を摂らず脂質が多めの主食抜きの食生活をしていると真の悪玉の小型LDLが増えるという結果が東京医科歯科大学の研究グループによって2023年に報告されています。結果考察では、小型LDL増加のメカニズムとして朝食抜きでは、概日リズムが乱れ、栄養バランスが乱れ、身体活動が低下、睡眠の質が低下して、血中中性脂肪が上昇し、小型LDLが増加すること、主食抜きでは、高脂肪食によって腸内細菌叢が変化し、食欲が増加し、インスリン抵抗性が高まり、小型LDLが増加したものと考えられています。

この考察は、私が2020年に出版した『小型LDLコレステロールの怖い話』（宝島社）の本のP40に書いている『小型LDLが増加する原因は中性脂肪とインスリン抵抗性である』ことと一致しています。

そもそも、朝食抜きで心血管疾患（CVD）のリスクが高まることは以前から知られています。そこで、この研究報告では食事パターンがCVDリスクに及ぼす影響を評価するために特に小型LDL値に焦点を当てています。

対象は健康診断を受診した日本人男女27,997人。朝食抜きの人の小型LDL値を含む脂質パラメータを朝食摂取者と比較しています。また、主食抜きの人の脂質パラメータも主食摂取者と比較しています。

その結果 朝食抜きの人は朝食摂取者に比べ、血清中小型LDL値が男女ともに有意に（p < 0.01）高く（それぞれ男性34.7対32.0mg／dL、女性25.4対24.9mg／dL）、小型LDL／LDL比についても同様でした（それぞれ男性0.276対0.260、女性0.218対0.209）。また、主食摂取者よりも主食スキップ者の小型LDL値も方が男女ともに有意に高く（男性34.1対31.6mg／dL、女性25.8対24.7mg／dL）、小型LDL／LDL比についても同様でした（それぞれ男性0.276対0.260、女性0.218対0.209）。

結論として、朝食抜きと主食抜きの食事はともに血清小型LDL濃度を上昇させ、好ましくない脂質プロファイルを引き起こし、CVDを促進する可能性があります。CVD予防のためには朝食と主食のある食事が重要であることが示されています。