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ほんとに注目すべきは「吸収型CoQ10」!について(1)「吸収型CoQ10」は「還元型CoQ10」の利点を併せ持つ

最近(※2014年10月時点)、「還元型CoQ10」が、テレビやラジオなど多くのメディアで頻繁に取り上げられていますので、ご存知な方も多いはず。

そこで、このシリーズでは、その「還元型CoQ10」とは、いったいどういったものなのか、どのような働きがあるのか、そして、「還元型CoQ10」の利点も併せ持つ「吸収型CoQ10」はなぜ凄いのか、について知識を深めていきましょう。

コエンザイムQ10(CoQ10)にはユビキノンという酸化型とユビキノールという還元型が存在します。が、それらの働きは全く異なっているのです。

ユビキノン(酸化型)は、補酵素として電子伝達系でエネルギー産生を促します。そして、エネルギー産生に関与したユビキノンは、ユビキノール(還元型)に変わるのです。

一方、ユビキノールは還元型ですので、当然、活性酸素を消去する抗酸化物質として働きます。そして、抗酸化に関与したユビキノールはユビキノン(酸化型)に変わるのです。

つまり、ユビキノン(酸化型)とユビキノール(還元型)が混在することでエネルギー産生と抗酸化に寄与し、体の健康を維持する、いわゆる、生体恒常性維持(ホメオスタシス)のための機能を発揮しているのです。

CoQ10が、生体内で酸化体と還元体に相互変換されている物質であることを考慮すると、酸化型で摂取するのも還元型で摂取するのも大きな差は無いのですが、最近、なぜか注目されているのがユビキノールの「還元型CoQ10」なのです。

そこで、「還元型CoQ10」の否定的な意見でなく利点……

「還元型CoQ10」は、強い抗酸化作用を持っていますので、摂取することで効果的な血中の抗酸化活性の増加が可能となります。その結果、虚血再還流時の血管障害、動脈硬化の再狭窄防止、脳梗塞後の血管障害の防止、動脈効果の予防、糖尿病の合併症の予防など多くの疾患に対して幅広い効果が期待されているのです。

ここで、「還元型CoQ10」の否定的な意見……

「還元型CoQ10」は、空気に触れると自動酸化が進む、極めて不安定な物質で取り扱いが困難であることが最大の問題点なのです。そこで、「還元型CoQ10」のリポソームによる被覆や界面活性剤での乳化など様々な安定化方法が検討されてきました。しかしながら、これらの手法は何れも無酸素条件下で「還元型CoQ10」を生成させた上で、各種安定化剤を加えるという厳密性を要求されるものなのです。また、「還元型CoQ10」を配合したサプリメントは、脱酸素剤を利用し、アルミ袋に無酸素状態で、しかも低温条件下での保存が必要なのです。結果、高価なサプリメントとなっているのです。

そこで、もっと注目すべきは「吸収型CoQ10」……

「吸収型CoQ10」は「包接体CoQ10」とも言われていますがγ-シクロデキストリンで包接して吸収率を高め、生体利用能を向上させた製剤をいいます。そもそもCoQ10は酸化型のユビキノンであっても、還元型のユビキノールであっても、脂溶性のため生体への吸収率は極めて低いものでした。そこで、登場したのが「吸収型CoQ10」なのです。

ここで、冒頭の「『吸収型CoQ10』は『還元型CoQ10』の利点を併せ持つ」という意味の説明です。

「吸収型CoQ10」に使用されているCoQ10は、酸化型CoQ10のユビキノンですが、この「吸収型CoQ10」が高い吸収性を持つ理由は、小腸内の消化液に含まれる胆汁酸で脂溶性のCoQ10が完全に溶解されるところにあります。そこで、水溶性のビタミンCを同時に摂取しておけば、生体内に入る前にすでに小腸内で酸化型CoQ10は還元型CoQ10に変換されていることが確かめられているのです。つまり、「吸収型CoQ10」とビタミンCを組み合わせれば、「還元型CoQ10」の生体利用能を向上させることができるのです。

図1. 小腸消化液中の「吸収型CoQ10」とビタミンCの反応による「還元型CoQ10」の生成
図1. 小腸消化液中の「吸収型CoQ10」とビタミンCの反応による「還元型CoQ10」の生成

実際に「吸収型CoQ10」とビタミンCを配合したサプリメントを健常者10名に1ヶ月間摂取してもらったところ、年齢に関係なく、血中の還元型CoQ10量は有意に増加していることも明らかとなっています。

図2. 健常人10名に「吸収型CoQ10」(100mg, CoQ10として20mg)とビタミンC(150mg)配合したサプリメントを1ヶ月摂取した後の血中の酸化型CoQ10, 還元型CoQ10, トータルCoQ10の増加
図2. 健常人10名に「吸収型CoQ10」(100mg, CoQ10として20mg)と
ビタミンC(150mg)配合したサプリメントを
1ヶ月摂取した後の血中の酸化型CoQ10, 還元型CoQ10, トータルCoQ10の増加

次回は、「吸収型CoQ10」とビタミンC併用による美肌効果を紹介いたします。