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その8. 共役リノール酸とは

これまでに2重結合のあるなしで、ある場合を不飽和脂肪酸、ない場合を飽和脂肪酸ということ、そして、不飽和脂肪酸は多価不飽和脂肪酸(必須脂肪酸=体内では作られない)と単価不飽和脂肪酸に分類されるということ、さらに多価不飽和脂肪酸はオメガ3系(n-3系)とオメガ6系(n-6系)のオイルに分けられ、そのオメガ6系の代表的な脂肪酸がリノール酸であることを説明してきました。(図1)

図1. 脂肪酸の種類

図1. 脂肪酸の種類

前回、リノール酸の良し悪しについてお話しましたが、実はリノール酸にはさらに共役リノール酸という異性体が存在します。最近、その健康への効果効能が注目されているのです。

尚、このリノール酸の“異性体”(炭素、酸素、水素の数は同じですが別の物質)の説明は・・・・・少し難しいのですが、幾何異性体(二重結合がシス型とトランス型の違いを幾何異性という)と位置異性体(二重結合の位置が異なる)の混合で8種類以上が存在しており、これらすべてを共役リノール酸と呼んでいます。(コラム:共役リノール酸はトランス脂肪酸?)

その共役リノール酸が見つかったのはハンバーグからでした。焼いたハンバーグの抽出物の中からがん抑制物質が発見され、分析すると共役リノール酸であることが判明しました。

リノール酸は大豆油やベニバナ油に多く含まれていますが、牧草中にも含まれており、そのリノール酸が反芻動物の胃の中に入ると共役リノール酸に変化します。よって、ハンバーグだけではなく、牛肉や牛乳、バター、チーズの中にも含まれているのです。(図2)

図2. 反芻動物の胃によるリノール酸から共役リノール酸への変換

図2. 反芻動物の胃によるリノール酸から共役リノール酸への変換

この共役リノール酸、人の健康維持増進に関与する、すばらしい多くの生理活性作用を有していることが知られているのです。

共役リノール酸の機能性評価のための本格的な研究は1990年代からスタートし、まずマウスの体脂肪が著しく減少することが見出され、その後、多くの動物試験やヒト臨床試験によって、免疫機能の改善、動脈硬化の予防、抗糖尿病効果、血圧上昇抑制作用など次々と生活習慣病の予防に係わる知見が得られています。

さらに、共役リノール酸には生活習慣病の予防のみならず、大変興味深いことにスポーツパフォーマンスの向上・維持に対しても有効性のあることが、順天堂大学の研究グループによって判明していますので、その一部をここに紹介しておきます。

ラットを用いた実験で共役リノール酸摂取と走運動トレーニングの影響を調べたところ、普通の飼料摂取群に比べて共役リノール酸摂取群では運動負荷によって血中ケトン体の濃度が上昇する傾向がありました。ケトン体は、体内で主として飽和脂肪酸のβ酸化によって産生されるもので、共役リノール酸摂取によって脂肪酸のβ酸化が亢進し、筋肉運動のエネルギー源として脂肪酸が利用されやすくなったことを意味しています。つまり、共役リノール酸摂取は、体脂肪を燃やしてダイエット効果とともにスポーツパフォーマンス向上効果をもたらすことが判ったのです。(図3)

図3. 共役リノール酸摂取と運動負荷による血中ケトン体の上昇

図3. 共役リノール酸摂取と運動負荷による血中ケトン体の上昇

尚、ケトン体についてはココナッツオイルの効能の説明の際にも出てきていますので下記URLもご参照ください。

http://blog.livedoor.jp/cyclochem02/archives/43003421.html

コラム 共役リノール酸はトランス脂肪酸?・・・・・・

共役リノール酸は構造的にトランス型の二重結合を有するものが多いのでトランス脂肪酸のカテゴリーではありますが、一般に恐れられている健康に対して“凶悪(キョウアク)”なトランス脂肪酸ではなく健康を維持できる“共役(キョウヤク)”なトランス脂肪酸です。よって米国のFDAでもデンマークにおけるトランス脂肪酸の規制においても規制対象外となっているのです。

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