マヌカαオリゴパウダー(1)抗菌作用|株式会社シクロケムバイオ
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研究情報
今、注目していること

マヌカαオリゴパウダー(1)抗菌作用

口腔や喉のケアに有効なニュージーランドのマヌカハニーが注目されています。声が仕事の生命線となるような歌手や芸人など有名人に認められ、ラジオやテレビ番組で何度も取り上げられるようになり、にわかに認知度が高まっています。このシリーズでは、そのマヌカハニーの効能をさらに高めたマヌカαオリゴパウダーについて紹介していきます。

マヌカハニーには他の蜂蜜にはない食物メチルグリオキサール(MGO)という抗菌物質が含まれており、口腔細菌やピロリ菌に対する抗菌作用が知られておりますが、抗菌作用に限定されず、風疹、水痘、帯状疱疹、ヘルペス、インフルエンザ等の抗ウイルス作用も知られています。

MGOを含有するマヌカハニーと同様に、私たちの研究室では、以前からα-シクロデキストリン(α-CD)の抗菌作用(正確には溶菌作用)にも注目してきました。そこで、双方の抗菌作用を活かす目的で、α-CDによるマヌカハニーの粉末化とその利用方法の検討を行いました。

その結果、大変興味深いことに、α-CD水溶液にマヌカハニーを単に添加するだけではなく、噴霧乾燥して粉末化する工程を経ると、抗菌作用の単なる相加効果(x+x=2x)ではなく、相乗効果(x×x=x2)による強力な抗菌活性が得られることが分りました。そこで、この粉末を“マヌカαオリゴパウダー”と名付けました。

図1にその検討結果を示しています。黄色ブドウ球菌(コラム①参照)のマヌカハニー、マヌカハニーとα-CDの単なる混合水溶液、そして、マヌカαオリゴパウダーによる増殖抑制作用(抗菌作用)をみたものですが、マヌカαオリゴパウダーのすばらしい作用が分っていただけると思います。

図1. α-CDとマヌカハニー併用による黄色ブドウ球菌の抗菌作用
図1. α-CDとマヌカハニー併用による黄色ブドウ球菌の抗菌作用

私たちの研究室で行われたこの検討結果をニュージーランドのマヌカヘルス社は高く評価し、さらに、抗菌物質MGOの含有量の違うマヌカハニーを用いて詳細な検討をしました。

尚、図2~図4では、マヌカハニーをHと、マヌカハニーのα-CD粉末のマヌカαオリゴパウダーをCPで表しています。また、マヌカハニー1kg当たり、MGOを250mg以上含有するマヌカハニーをMGO250、MGOを400mg以上含有するマヌカハニーをMGO400、そして、500mg以上含有するマヌカハニーをMGO500と表記しています。

図2はマヌカαオリゴパウダー(MAP)による黄色ブドウ球菌の増殖抑制作用をみたものです。マヌカハニー(H)2%水溶液とマヌカαオリゴパウダー(MAP)2%水溶液の差を比較していますが、MAP2%水溶液に含まれるマヌカハニー含量は、その半分の1%でありながら、MGO250とMGO550ともに、MAPの方が、黄色ブドウ球菌の増殖が効果的に抑制されていることが分ります。

図2. マヌカαオリゴパウダーによる黄色ブドウ球菌の増殖抑制作用
図2. マヌカαオリゴパウダーによる黄色ブドウ球菌の増殖抑制作用

図3は、マヌカαオリゴパウダー(MAP)による化膿レンサ球菌(コラム②参照)の増殖抑制作用をみたものです。マヌカハニー(H)の2%と4%水溶液とマヌカαオリゴパウダー(MAP)の2%と4%水溶液の差を比較しています。MGO550のマヌカハニーの2%水溶液では完全に増殖は抑えられていませんが、MGO250のマヌカハニーを用いたマヌカαオリゴパウダー(MGO250MAP)で完全に増殖を抑えられていることが分ります。

図3. マヌカαオリゴパウダーによる化膿レンサ球菌の増殖抑制作用
図3. マヌカαオリゴパウダーによる化膿レンサ球菌の増殖抑制作用

図4はマヌカαオリゴパウダー(MAP)によるヘリコバクター・ピロリ菌(コラム③参照)の増殖抑制作用をみたものです。化膿レンサ球菌と同様にMGO550のマヌカハニー(MGO550H)の2%水溶液よりもMGO250のマヌカハニーを用いたマヌカαオリゴパウダー(MGO250MAP)の2%水溶液の方がほぼ完全に増殖を抑制できていることが分ります。

図4. マヌカαオリゴパウダーによるピロリ菌の増殖抑制作用
図4. マヌカαオリゴパウダーによるピロリ菌の増殖抑制作用

このようにマヌカαオリゴパウダーの抗菌活性は、今後、食品分野だけではなく医薬分野においても研究が進められるに十分な結果となっているのです。

コラム①:黄色ブドウ球菌(スタフィロコッカス・アウレウス)

ヒトの膿瘍(のうよう)等の様々な表皮感染症や食中毒、肺炎、髄膜炎、敗血症など致死的となるような感染症の起因菌。

コラム②:化膿レンサ球菌

健康なヒトの咽頭(いんとう)や消化管、表皮にも生息する常在細菌の一種。溶連菌感染症、化膿性疾患、全身性疾患、免疫性疾患など、多様な疾患の原因菌。この細菌は突然豹変して、劇症型溶血性レンサ球菌という人食いバクテリアに変身する。

コラム③:ヘリコバクター・ピロリ菌

胃に生息する細菌。ウレアーゼ酵素を産生して、胃粘液中の尿素をアンモニアと二酸化炭素に分解し、生じたアンモニアで局所的に胃酸を中和して胃に定着している。慢性胃炎、胃潰瘍、十二指腸潰瘍、胃がんなどの発生につながる細菌。