スキンケアのための科学(1) 色白美人のシワたるみ防御法
いつまでも若く美しい肌を保つにはどうしたらいいのか、スキンケアのための科学について『まめ知識』を身につけていきましょう。まずはこのシリーズの序章からです。
では、質問です。色白美人はシワ婆さんになる確率が高いというのは本当でしょうか?
実は、肌の構造を知ればこの質問の答えは簡単なのです。
肌の構造、まず一番表側にある層は角質層ですがその角質層を含めて表皮といいます。その表皮の内側にある厚い層が真皮です。(図1)
真皮は繊維組織のかたまりのコラーゲン、そして、それをゴムで束ねる役目のような弾力性を与える線維のエラスチンで出来ています。
コラーゲンもエラスチンもタンパク質線維ですので水を蓄えられます。さらに、それらのタンパク質線維の間に、水を多量に含むゼリー状を形成できるムコ多糖のヒアルロン酸が組織の間を埋めるように存在しています。そういった理由で真皮は水分をたくさん含むことが可能で、表皮の数倍の厚さを形成しているのです。特に、真皮の一番表側で表皮に接している乳頭層に十分な水分があれば、皮膚の表面にハリや弾力性が生み出されます。
つまり、タンパク質線維のコラーゲンやエラスチン、ムコ多糖のヒアルロン酸が、肌のハリや弾力性があるか、シワやたるみが出来るか、という肌の状態を決めているのです。
一方、色白か色黒かを決めるのは表皮です。表皮ではメラノサイトという色素細胞が黒褐色のメラニン色素を作っています。この色素細胞は紫外線を浴びた際、細胞内に存在しているチロシナーゼという酸化酵素を活性化し、アミノ酸のチロシンを酸化させてメラニンを作っているのです。(図2)
では、なぜメラニン色素を作っているのでしょうか? それは紫外線から肌を保護するためなのです。よって、メラニン色素で色黒の肌になっている人の方が色白の肌の人よりも紫外線のダメージを抑えることが出来るのです。たとえば、白人はメラニンが少ないので紫外線のダメージを受けやすいために皮膚がんを発症する可能性が有色人種よりも高いことが知られています。
ここまで説明すると、最初の質問の答えが正解であることがわかって頂けたと思います。
ただ、紫外線を浴びてメラニン色素で肌が黒くなっても通常は表皮細胞のターンオーバーでメラニン色素は肌の外に排出され、もとの状態に戻ります。
しかし、加齢や過剰な量の紫外線、そして、紫外線によって発生する活性酸素などによって、新陳代謝が低下し、良質な表皮細胞が減少している状態となりながらも、さらに紫外線を繰り返し浴びていると、メラニンはうまく排出されなくなります。これが、シミやソバカスが発生する理由です。
また、そのタンパク質線維のコラーゲンやエラスチン、ムコ多糖線維のヒアルロン酸を作っているのが線維芽細胞であり、コラーゲンによる網状層の中に存在しています。
表皮に適度な量のメラニンがないと紫外線や活性酸素は真皮まで到達し、これらの線維に影響を与えるだけでなく、線維芽細胞が減少します。その結果、真皮内のコラーゲンやエラスチン、ヒアルロン酸量も低下し、シワやたるみが発生するのです。(図3)
では、色白美人はどのようにして、白い肌のまま、ハリや弾力を保てばいいのでしょうか?
最もいい方法は、紫外線を避けることです。しかし、それは日々の生活で無理なことです。
紫外線や活性酸素を防御するもうひとつの有効な手段として、紫外線吸収剤や抗酸化物質を含有する2つの美容液があります。
その1つは朝外出する前に塗る美容液で、フェルラ酸という天然では唯一の紫外線吸収剤の吸収性と高めて配合しています。その美容液には、さらに吸収性を高めたR-αリポ酸とスーパービタミンEのδトコトリエノールという抗酸化物質を配合しています。表皮細胞と色素細胞の活性化に有効です。
もう1つは夜寝る前に塗る美容液で、線維芽細胞の活性化に有効なレチノール、CoQ10、R-αリポ酸を、吸収性を高めた形で配合しています。
次回からスキンケアのための科学の各論に入ります。