眼瞼炎に対するマヌカハニーとMAPの効果(2) ニキビダニに対するMAPの抗寄生虫効果|株式会社シクロケムバイオ
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研究情報
今、注目していること

眼瞼炎に対するマヌカハニーとMAPの効果(2) ニキビダニに対するMAPの抗寄生虫効果

以前この『今、注目していること』では眼瞼炎に対するマヌカハニーとMAPの効果に関してオークランド大学のCraigらの研究グループの2016年に発表された論文を紹介しています。

その論文では、眼瞼炎の原因の一つに細菌やウイルスの感染があり、主な原因菌として黄色ブドウ球菌、表皮ブドウ球菌、緑膿菌などが挙げられ、異常繁殖によって炎症を引き起こすのですが、その眼瞼炎の治癒にMAPの抗菌活性が利用できることが示されていました。

ここで紹介する論文は、同じくCraigらの研究グループの報告です。(Comparing the invitro effects of MGO Manuka honey and tea tree oil in ocular Demodex viability, K. Frame et. al., Contact Lens and Anterior Eye, 2018)この論文では眼瞼炎のもう一つの原因であるニキビダニに対するMAPの抗寄生虫効果について検証しています。

ニキビダニはすべての種の哺乳類の皮膚のさまざまな分泌腺に寄生していて、ヒトでは特に顔面で皮脂腺が発達しているため、顔における寄生密度が高いので『顔ダニ』とも俗称され、健康な皮膚から普通に検出されます。そして、このニキビダニが眼瞼炎を引き起こすことがあるそうです。

ニキビダニによって引き起こされる眼瞼炎に対してはオーストラリアのMelaleuca alternifoliaの葉から抽出されるティーツリーオイル(TTO)が最も一般的に使用される抗菌剤です。臨床試験では、50%と5%のTTO配合物でニキビダニの減少と症状の改善がみられ、有効性が確認されていますが、眼毒性が問題となっていて、高濃度、または、長期間の暴露で刺激を引き起こす可能性があります。そこで、TTOに替わる、長期治療に適した治療薬の開発が望まれています。

一方、MGOマヌカハニーの抗菌効果と抗炎症効果もよく知られていて、αオリゴ糖との併用でそれらの効果をさらに増強できることも判明し、近年、大きな関心を集めていますが、ニキビダニに対するマヌカハニーやMAPの抗寄生虫効果についてはいまだに検討されていませんでした。そこで、この論文では、ニキビダニ生存率を調べることでマヌカハニー、MAP、そして、TTOの効果を比較することを目的としています。

試験手順としては、まず、ヒトからのニキビダニを採取しています。眼瞼炎でドライアイを患っているボランティア9名(平均年齢59歳、21~78歳)からまつ毛を除毛し52匹の生きたニキビダニを得ています。そして、各群に分けて1分間顕微鏡観察(200倍)し、4分間のインターバルを設けて、2回続けて胴体や手足に動きがなければ死亡と判定しています。その結果、MAPは50%TTOと同等の抗寄生虫効果が確認できました。

図2. ニキビダニの生存率
図2. ニキビダニの生存率

以上のように、これまでの抗菌活性評価と同様にαオリゴ糖をマヌカハニーに加えること(MAPにすること)によって相乗的な抗寄生虫作用が認められました。

TTOは眼毒性があり、高濃度、または、長期間の暴露で刺激を引き起こす可能性があります。したがって、in vivo試験では、50%ティーツリーオイルの有効性評価では20分未満と短期間に制限されています。また、5%TTOを一晩適用するとニキビダニの数が減少する結果が得られていますが、in vitro試験では低濃度で抗菌効果が有意に減少してしまうことがわかっています。一方で、MAPの局所製剤は健康な被験者に対して2週間の安全性と耐薬性が確認されています。

このようにMAPはニキビダニによって引き起こされる眼瞼炎の安全な非刺激性代替治療素材として利用できる可能性を示唆した検討結果が得られています。

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