マヌカハニーで認知症予防 (2) マヌカハニーで歯周病病原菌を減らし認知症の予防
今回は、ハチミツの中でもマヌカハニーが歯周病原因菌や虫歯菌に対する抗菌作用が最も高く、認知症予防に最も効果的であることを示す論文を紹介します。
歯周病とは歯周組織がプラークに含まれている歯周病菌に感染し、歯肉が腫れたり、出血したり、最終的には歯が抜けてしまう、歯の周りの病気の総称です。Porphyromonas gingivalis(ギンギバリス菌)やFusobacterium nucleatumが代表的な歯周病原因菌として取り上げられています。歯周病の初期では自覚症状がほとんどないので気付いていない方が多いだけで、実際には日本人の成人の約80%が歯周病(歯肉炎、歯周炎)にかかっているといわれています。そして、心血管疾患や糖尿病など全身疾患との関与がわかってきていると同時に、認知症の60%以上を占めるアルツハイマー病とも関連しているのです。
種々の蜂蜜の中でもマヌカハニーは最もこれらの歯周病原因菌に対する抗菌作用が高いことがシクロケムと鶴見大学の共同研究によって明らかとなっています。
尚、これらの菌は何れも偏性嫌気性のグラム陰性桿菌ですのでBHIYbroth培地による希釈系列を嫌気培養(n=5)して各種ハチミツの抗菌作用(MIC、MBC)を検討しています。MICは最小発育阻止濃度(Minimum Inhibitory Concentration)でMBCは最小殺菌濃度(Minimum Bactericidal Concentration)です。
また、ギンギバリス菌に対する抗菌作用はシクロケムと鶴見大学歯学部の共同研究だけではなく、ドレスデン工科大学のトーマス・ヘンレ教授も確認しており、前回、TV番組の『名医とつながる!たけしの家庭の医学』で紹介された認知症に効果のあるマルチフローラルハニー(日本では百花蜂蜜という)とマヌカハニーを比較検討し、最小発育阻止濃度(MIC)の結果、ドイツ産マルチフローラルハニーよりもマヌカハニーは強い抗菌効果を示しています。
Honey – a potential agent against Porphyromonas gingivalis: an in vitro study、Thomas Henle et. al., BMC Oral Health,14. 24 (2014)
さらに、シクロケムは鶴見大学と共同で虫歯菌のミュータンス菌に対してもマヌカハニーがハチミツの中で最も抗菌作用の高いことを明らかにしています。
尚、ミュータンス菌は通性嫌気性でグラム陽性の連鎖球菌ですのでBHIYbroth培地による希釈系列を嫌気培養(n=3)をして、各種ハチミツのMICとMBCを評価しています。
TV番組の『名医とつながる!たけしの家庭の医学』で紹介された認知症に効果のあるマルチフローラルハニーは抗酸化物質であるフラボノイドが認知症の原因となるLPSによる脳内の炎症を抑えることで認知症が改善されるとのことでしたが、マヌカハニーはこのフラボノイド類を含むポリフェノール含量が最も多く、抗酸化作用も高いことも報告されています。
Antibacterial and Antioxidant Potency of Floral Honeys from Different Botanical and Geographical Origins, Molecules 2012, 17, 10540-10549; doi:10.3390/molecules170910540
以上より、歯周病による認知症予防の可能性として、歯磨きと併せて抗菌活性の高いマヌカハニーを食べることで、ギンギバリス菌などの悪玉菌の数を減らし、生ごみのような特有の口臭も抑制できること、そして、ギンギバリス菌由来のLPSによる脳での炎症をマヌカハニーで抑制し、認知症発症リスクを低減させることができると考えられます。