クルクミンによるアスリートのパフォーマンス向上|株式会社シクロケムバイオ
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研究情報
今、注目していること
2017.11.06 掲載

クルクミンによるアスリートのパフォーマンス向上

クルクミンは、以前にもこの「今、注目していること」で取り上げましたが、ウコンに含まれるポリフェノールの一種で、肝機能向上作用、美肌効果、コレステロール低減効果があるとしてサプリメントや飲料に配合されています。特に、飲酒前には悪酔いや二日酔いを予防する目的で、肝臓の解毒機能を高める作用と胆汁の分泌を促がす作用を期待して、『ウコンのちから』などの飲料を常用している方もいるかと思います。
還元型クルクミン

一方で、クルクミンがアスリートのパフォーマンスの向上に有効であることはあまり知られていません。そこで、今回は2007年に米国のサウスカロライナ大学の研究グループが検討したクルクミンのスポーツパフォーマンスに関する学術論文を紹介します。(Am. J. Physiol. Regul. Integr. Comp. Physiol., 2007 Jun; 292 (6); R2168-73)

マウスを通常餌(0.5g/日)群(プラセボ群)とクルクミン(10mg)を添加した通常餌群(クルクミン群)に分け、3日間、餌を与え、その後、マウスを2時間半走らせました。その際、それぞれの群をマイナス14度の下り坂を走らせるグループとプラス14度の上り坂を走らせるグループに分けて走らせています。

図1. マウスランナーのイメージ図
図1. マウスランナーのイメージ図

2時間半走らせた後、48~72時間の休憩をし、再び、マウスを走らせるのですが、今度は、力尽きるまで走らせ、走れなくなるまでに掛かった時間を調べました。その結果、下り坂を走ったマウスにクルクミンの抗疲労効果が有意に示されています。

図2. クルクミンの抗疲労効果
図2. クルクミンの抗疲労効果

次に、マウスのクレアチンキナーゼ活性を調べています。運動後の血中クレアチンキナーゼ値によって筋肉の損傷度が確認できることが知られています。値が高いほど筋肉は損傷していることになります。そこで、2時間半の運動の後、48時間および72時間休憩してクレアチンキナーゼ値を測定したところ、クルクミン群のクレアチンキナーゼ値はプラセボ群と比較して低く、クルクミンによって筋肉損傷は減少することが示されました。

図3. クルクミンの筋肉損傷の抑制作用
図3. クルクミンの筋肉損傷の抑制作用

また、筋肉組織内の炎症性のサイトカインであるIL-6やTNF-αの生成の抑制にクルクミンに効果のあることも確認しています。ここでは、TNF-αのみを示しておきます。

図4. クルクミンの抗炎症効果
図4. クルクミンの抗炎症効果

以上のように、クルクミンには激しい運動を行なうアスリートに必要な抗疲労、疲労回復、筋肉損傷予防、抗炎症作用のあることが明らかとなっています。