パーソナル化サプリメントのトッピング機能性成分(2)腎臓の健康と痛風対策|株式会社シクロケムバイオ
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2022.7.19 掲載

パーソナル化サプリメントのトッピング機能性成分(2)腎臓の健康と痛風対策

このシリーズではパーソナル化サプリメント(PS)において各個人の目的のためのトッピング機能性成分の科学的根拠を説明していきます。今回は腎臓の健康と痛風対策として健康診断で尿酸値が高め、あるいは、尿素窒素(BUN)、尿比重が高めに出た方々のためのパーソナル化サプリメントを提案します。

まず、痛風ですが、痛風は非常に激しい痛みを伴う関節炎で、男性に多くみられる疾患として、その患者数は年々増加しています。現在、日本の痛風患者数は60万人~70万人ですが、痛風の予備群である高尿酸血症の人を含めると600万人~650万人と人口の5%位も占めていると推定されています。

痛風や高尿酸血症は遺伝的要因や肥満、食べ過ぎ、過度な飲酒、ストレスなどによって引き起こされます。治療薬としては、アロプリノールやフェブキソスタット(フェブリク)などが用いられていますが、副作用の心配も少なからずあります。

そこで、原因となる生活習慣を改め、運動とパーソナル化サプリメントによる痛風対策のためのトッピング素材について提案します。

まずは運動ですが、肥満解消のためとか、筋トレでボディビルダーになろうと、激しい運動をするとエネルギーを生産する際の副産物として尿酸が増え、痛風発症の原因になることがあります。尿酸値が高めの方の運動としてはウォーキングなどの軽い有酸素運動をすること、そして、継続することがお勧めです。

痛風の予防・改善に有効でお薦めのパーソナル化サプリメントのトッピング素材にはクルクミンとニュージーランド産プロポリスがあります。
ニュージーランド産プロポリスに痛風の予防・改善効果あり

最近の研究報告(2020年)でクルクミンに尿酸低下作用のあることが示されていますので、クルクミンは原因の異なる痛風とリウマチの双方に有効であること、そして、腎機能の改善に有効であることが明らかになっています。

Effect of Curcumin on Lowering Uric Acid and Protection of Liver and Kidney in Hyperuricemia Mice(クルクミンによる高尿酸血症マウスの尿酸低下と肝腎保護の効果)
Chen Qi, et al., Shipin Gongye Keji 41, 307 (2020)

高尿酸血症モデルマウスを用いて尿酸と肝臓腎臓に対するクルクミンの保護作用を検討しています。

クルクミン群はプラセボ群と比較して、血清尿酸(UA)、キサンチンオキシダーゼ(XOD)、尿素窒素(BUN)クレアチニン(CRE)レベルが有意(顕著)に低下することが判明し(いずれもP < 0.01)、痛風対策と腎機能改善に有効であることが示唆されました。また、肝機能改善の指標になるASTとALTも顕著に低下し(P < 0.05)、肝機能改善にも有効であることが示されています。

クルクミンを摂取するとキサンチンオキシダーゼ(XOD)が低下するのですが、では、なぜ、このXOD酵素が低下すると痛風対策になるのでしょうか?

それは、プリン体はキサンチンという物質に変換され尿酸が生成するのですが、XODがそのキサンチン合成とキサンチンから尿酸合成の両方の反応を進める酵素(触媒)だからです。そのXODが減少すれば、当然、プリン体から変換される尿酸量は減少し、尿酸の結晶化による痛風は発症しにくくなります。

図1. プリン体からの尿酸生成と痛風発症について
図1. プリン体からの尿酸生成と痛風発症について

そして、そのXOD酵素活性阻害効果はクルクミンと同様にニュージーランド産プロポリスにもあります。ブラジル産プロポリスにはアルテピリンC(ARC)、そして、ニュージーランド産プロポリスにはコーヒー酸フェネチル(CAPE)という成分が含まれており、これらの桂皮酸誘導体やポリフェノールが抗酸化作用や抗がん作用を示すのですが、XOD活性阻害に関しては、ARCやプロポリスに含まれるポリフェノールに比べ、CAPEが最も高い効果を示し、医薬品のアロプリノールと同等の活性を持つことが明らかとなっています。

図2. XOD活性阻害作用の比較
図2. XOD活性阻害作用の比較

ニュージーランド産プロポリスに痛風の予防・改善効果あり

尚、クルクミンは脂溶性物質のため生体吸収性が低いため、γ-オリゴ糖によって吸収性を高めたクルクミンγ-オリゴ糖包接体、そして、ニュージーランド産プロポリスに含まれるCAPEは胃液小腸液中での安定性が低く生体利用能(吸収性)が低いため、その安定性と吸収性を高めたニュージーランド産プロポリスCAPE30+γ-オリゴ糖包接体がトッピング素材として利用されています。