還元型CoQ10包接体の吸収性とコロナ後遺症の改善について(2)酸化型CoQ10包接体と還元型CoQ10包接体の溶解性と吸収性の比較
(1)では、還元型CoQ10包接体と原料の還元型CoQ10(未包接体)との人工腸液中の還元型CoQ10の溶解度の比較、および、油脂乳化剤などで吸収性を改善したソフトカプセルや錠剤などの国内5社の還元型CoQ10サプリメントとの人工腸液中の還元型CoQ10の溶解度の比較の検討を紹介しました。結果として、還元型CoQ10包接体は、最も吸収性を高めたN社の還元型CoQ10サプリメントの5倍の人工腸液における溶解度を示していました。
そこで、(2)では、酸化型CoQ10包接体と還元型CoQ10包接体の吸収性を比較するためのデータを紹介します。残念ながら、還元型CoQ10包接体の吸収性を検討したヒト試験は実施されていないので酸化型CoQ10包接体との直接の比較はできないのですが、人工腸液を用いたCoQ10溶解度の比較試験は既に実施されています。予想通り、酸化型CoQ10の場合と同様に原末(未包接体)と比較すると還元型CoQ10もγ-CD包接化によって顕著に人工腸液中のCoQ10濃度は上昇することが確かめられています。さらに、注目すべき結果は、還元型CoQ10包接体の方が酸化型CoQ10包接体よりも2倍以上高い溶解度を示しています。
※1、2を参照すると、ソフトカプセル摂取による吸収性比較で『健常人における還元型CoQ10の吸収性は酸化型CoQ10に比べ3倍以上高い』ことが確認されております。
この結果と上述データを合わせて総合判断すると、包接体においても吸収性ヒト試験と人工腸液による溶解度試験には相関性があると考えられます。酸化型CoQ10包接体の場合にはヒト試験で18倍の吸収率向上が確認されておりますので、還元型CoQ10包接体の場合には、未包接体と比較して18倍×2~3倍=36~54倍の吸収性の向上が期待できます。吸収性が高まると、還元型CoQ10を体内で一層効率よく使え、摂取量が少なくても機能性が発揮されることになります。したがって、その包接体の高吸収性を活かし、現在、100mgがデファクトスタンダードとなっている配合量を、約5分の1の20mgで設計すれば、単価の高い還元型CoQ10でも多くの方が利用しやすい価格になると考えられます。
※1:Hosoe K. et al., Regul Toxicol Pharmacol. 2007; 47, p19-28
※2:Ikematsu H. et al., Regul Toxicol Pharmacol. 2006; 44, p212-8