第56回 δトコトリエノール-γ-シクロデキストリン包接体の開発
本研究成果は、2013年9月13日(金)、第30回シクロデキストリンシンポジウム(9/12~13、熊本県民交流館パレア(熊本)にて開催)において発表しました。
背景
当社ではシクロデキストリン(CD)の包接機能を利用して、機能性成分の水溶性、安定化、生物学的利用能などを向上させる技術を有しております。それらの成果は化粧品、食品等の様々な分野で広く利用されています。最近では高いアンチエイジング作用を有する『“スーパービタミンE”トコトリエノール』という成分に注目し、それをγ-シクロデキストリンで包接することで安定で吸収性の高い粉末の作成に成功しました(※詳しくは、当社ホームページの最新研究成果「第38回および第53回」を参照して下さい。)。さらにトコトリエノールの中でも特に抗酸化作用が高いデルタトコトリエノール(δT3)を高含有するオイルを用い、そのγ-CD包接複合体(デルタトコトリエノールCD:δT3-γ-CD)を新たに開発しました。今回は、健康食品・機能性化粧品素材を目指したδT3-γ-CDの機能評価について、安定性および吸収性に関する検討を行いましたので報告します。
トコフェロール・トコトリエノールの構造
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メチル基の位置によってそれぞれ4つのTpおよびT3が存在する。
ベニノキ種子抽出油
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ベニノキ種子抽出油に含まれるビタミンEはほとんどがT3で、その内90%がδT3、10%がγT3です。
また、T3の効果阻害作用が報告されているαTpをほとんど含んでいません。
今回はδT3高含有ベニノキ種子抽出油を用いてCD包接複合体を作製しました。
δトコトリエノールの訴求点
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→ δT3やγT3といったメチル基の少ない類似体は抗酸化力が特に強く、健康増進のための効能効果が数多く報告されている。
しかし、T3は脂溶性のため水に溶け難く、生物学的利用能が低いといった難点がある。
胆汁酸による脂溶性物質-γ-CD包接体の可溶化
一般的に、摂取された脂溶性物質は腸内で胆汁酸ミセルに取り込まれて体内に吸収されます。
当社の研究から、脂溶性物質がγ-CD包接されると、非常に効率良く胆汁酸ミセルへ取り込まれ生物学的利用能も向上することが明らかとなっています。
γ-CDを用いた脂溶性物質の可溶化技術
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本研究では、
δT3の吸収性の改善を目指し、デルタトコトリエノールCDの可溶化検討を行った。
デルタトコトリエノールCD(δT3-γ-CD)
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デルタトコトリエノールCDの安定性
δT3-γ-CDを40℃、75%RHで保存し、δT3の安定性を確認した。
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δT3-γ-CD中のδT3は40℃、75%RH条件下で6ヶ月間安定であった。
デルタトコトリエノールCDの可溶化検討
δT3-γ-CDの可溶化検討を行うのにあたり、δT3を可溶化させるための可溶化剤として、胆汁酸の成分であるタウロコール酸ナトリウム(NaTC)を用いた。
デルタトコトリエノールCDの可溶化_NaTC
δT3-γ-CDを40℃、75%RHで保存し、δT3の安定性を確認した。
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NaTC共存下、δT3-γ-CDにおいて他のCDと比較して最も高い溶解度が観測された。
まとめ
- ベニノキ種子抽出油とγ-CDを混合すると、流動性が良く、水に高分散できる黄白色粉末デルタトコトリエノールCD (δT3-γ-CD)が得られた。
- デルタトコトリエノールCDを40℃、75%RHで保存した場合、含有されたδT3は6ヶ月間安定であった。
- NaTC共存下におけるδT3の各CD包接複合体の溶解度を検討した結果、γ-CD包接複合体(δT3-γ-CD )において最も高い溶解度を示した。
デルタトコトリエノールCDは安定で、可溶化剤と併用すると水への溶解度が増加した。
→ 生物学的利用能の高いδT3素材として、飲料への配合やサプリメントとしての利用が期待できる。