第58回 α-シクロデキストリンによるレスベラトロールの水溶化
本研究成果は、2013年9月13日(金)、第30回シクロデキストリンシンポジウム(9/12~13、熊本県民交流館パレア(熊本)にて開催)において発表しました。
背景
当社ではシクロデキストリン(CD)の包接機能を利用して、機能性成分の水溶性、安定性、生物学的利用能などを向上させる技術を有しております。それらの成果は化粧品、食品等の様々な分野で広く利用されています。
ブドウなどに含まれる『レスベラトロール』は、高いアンチエイジング作用を有する機能性食品成分として注目されています。しかし、レスベラトロールは水溶性が低く、それが体内への吸収性に影響していると考えられています。
そこで今回は、吸収性の高い健康食品および機能性化粧品素材を目指したレスベラトロールの水溶性改善について、CDを用いた検討を行いましたので報告します。
レスベラトロール
ブドウなどに含まれるポリフェノール
効果
抗酸化作用 / 美肌効果 / がん予防効果 / メタボリックシンドローム予防効果 / 脳機能改善作用
レスベラトロールの難水溶性は生物学的利用能に影響している。
一般的に、可溶化剤などで脂溶性物質の水溶性を高めることは、それらの生物学的利用能の向上につながる。
→ 本研究では、CD包接を利用したレスベラトロールの水溶性向上について検討した。
実験
用いたCD
天然型CD
“α-CD”、“β-CD”、“γ-CD”
分岐型CD
天然型CDより水溶性が高い。
操作:レスベラトロールを20mg量り取り、各濃度のCD水溶液 2mLを添加し、一晩振とう(25℃)後、0.2μmフィルターでろ過・HPLCにて分析
結果
レスベラトロールの溶解度の変化はCDの種類によって異なり、α-CDおよび分岐型β-CDが効果的にレスベラトロールの溶解度を上昇させた。
β-CDは溶解度が低いため、1%まで試験を行った。